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#5 センサーデータって誰のもの?

明治大学 総合数理学部 教授 森岡 一幸

みんなでデータを管理し、みんながデータを使える社会を目指す

私たちの行動の情報が収集され、勝手に分析され活用されていることに抵抗がある人もいると思います。しかし、現代社会には、センサー、ネットワーク、クラウドなどにより、膨大な量のデータを収集し、活用するシステムが既に構築されています。私たちの行動の多くは、スマホに限らず、SNSやネットショッピング、Suicaを使って駅の自動改札を通るときも収集されています。

現代社会に生きる私たちは、個人に関わるセンサーデータが収集されることを避け、これらのシステムを一切利用しない生活ができるでしょうか。私はもはや不可能だと考えています。むしろ、問題は、こうした情報を収集することの是非ではなく、収集した情報を、誰が、どのように管理するのか、ということではないかと思います。

現在は、サービスを提供する企業が独占的に情報を収集し、活用しています。その対価として、インターネットのサービスの多くを無料で使用することができる場合もあります。中国のある企業のように、個人の情報を基に、個人に点数を付けてランキングするシステムを導入したりする例もあり、社会に大きな影響を与えています。

これらは、センサーデータを含めたインターネット上での私たちの行動履歴に基づいています。私たちはもっとこのような個人の行動に関わるデータの価値を認識したほうがいいのではないでしょうか。個人のデータを収集・活用してビジネスをしている企業は、提供した人にもっと対価を払うべきだし、個人のデータにはそれだけの価値があると思います。今後ますます発展するセンサーデータには、なおさら価値が出てくるでしょう。

理想は、みんなでデータを管理し、みんながデータを使えるようにすることだと考えています。センサーデータには価値があるという考えをみんながもち、各自が取得したセンサーデータを売買し、センサーデータを活用したサービスの提供を受けるのです。すると、よりパーソナライズされた利便性の高いサービスを、私たち一人ひとりが享受できるようになると思います。

ビットコインに代表される仮想通貨を成り立たせたブロックチェーンというデータの管理の仕組みがあります。簡単に言えば、特に通貨の管理者がいなくても、ネットワークに繋がったみんなで、通貨の取引の記録を共有し、改ざんできないように監視し合うようなものです。センサーデータや分析された個人情報に関しても、同じような仕組みが必要になるのではないでしょうか。

いずれにしても、社会全体がロボット化していく流れは止められないと思います。私たち一人ひとりがリテラシーを高め、スマホの情報収集の仕組みや、その情報を誰が分析し何に活用しているのか、といったことには少なくとも関心をもつべきです。そして、情報収集や活用を嫌がるのではなく、それを快適に使いこなす生活者になりたいものです。

#1 最新ロボットは人型じゃない?
#2 私たちの身近に広がるセンサー
#3 センサーデータを使ってロボットを賢く!
#4 ロボットは個人の情報を収集している?
#5 センサーデータって誰のもの?

※記事の内容は、執筆者個人の考え、意見に基づくものであり、明治大学の公式見解を示すものではありません。

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