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新たな挑戦には法律知識が必要
2025.07.16

学びを加速させるアドバイス新たな挑戦には法律知識が必要

リレーコラム
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教授陣によるリレーコラム/学びを加速させるアドバイス【5】

私個人の「学ぶ姿勢」で申し上げますと、社会問題を様々な観点から分析し、自らの専門スキルをふまえた研究を心がけています。

研究対象のひとつであるSNSの規制の問題についていえば、技術的側面やメディア論の研究動向についても、ある程度の知識がなければ、十分な研究はできません。

そのため、とりわけ新しい技術やサービスが登場した際には、なるべく関心を持つようにしています。

その点で付け加えると、いまや国民の多くが情報をテレビ・新聞ではなく、ネットから得ています。それにもかかわらず、法学者が従来のマスメディアを前提とした法理に固執するのは問題ではないかと思います。

さて、デジタル社会において、近年ではAIを筆頭に、さまざまなサービスが生まれていますが、このときにやはり法的な知識があるのとないのとでは、それを利用する側になったときも、あるいはサービスを普及させる側に立ったときも、大きな違いが出るように思います。

たとえば2000年代には、ウェブ系の新興メディアや新興サービスの起業者たちが、伝統的なマスコミであるテレビ局を買収しようとしたことがありました。

しかし、彼らが放送事業と通信の一体化を進めて、たとえば昔のテレビドラマをネット配信しようと考えても、そこに知的財産法等の法的理解がなければ、前に進むことはできません。

あるいは、AIの学習のためにビッグデータを欲しようとも、プロバイダが取得した個人情報を利用者の同意なしにAIに学習させることは、個人情報保護の観点から問題があります。

つまるところ、法律知識は一見アナログで古いものに見えるかもしれませんが、現代において新しいことを始めようとする際には、必ず要求されるのです。

学生の方もビジネスパーソンの方々も、自分の関心のある事柄に関連して、無理なく勉強できる範囲から、法律の知識を身に付けていくことをお勧めします。

※記事の内容は、執筆者個人の考え、意見に基づくものであり、明治大学の公式見解を示すものではありません。

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