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#4 ロボットは個人の情報を収集している?

森岡 一幸 森岡 一幸 明治大学 総合数理学部 教授

個人の行動はデータ化され、分析されている

これまでの連載にて、センサー+ネットワークによる「感じる部分」、コンピュータで学習する「考える部分」がロボット的なシステムの実現に不可欠なものであることを述べました。そして、私たち一人ひとりを理解し、パーソナライズされた利便性の高いサービスを提供してくれるようになるには、センサーにより個人の行動データの収集と学習が不可欠であることに触れました。

現在でも、スマホの位置情報を分析した結果として、自分がどんな乗り物に乗ってどこに行ったか、いつどのレストランで食事したか、ということを過去に遡って確認することができます。

スマホがとても便利な道具であるのは、それにより社会や企業が提供する様々なサービスや機能を利用することができるからですが、そのとき、自分の行動の情報はインターネットを通じてどこかに送られ、そこで蓄積され、分析されているわけです。このようなスマホでの情報収集について、違和感がある向きもあると思いますが、特に意識せずに使っていることのほうが多いでしょう。

ところが、個人情報の収集に関わるセンサーシステム、センサーデータの活用や社会実験について報道されると、それに対する批判的な意見が巻き起こることがよくあります。これまでも、駅や街中の公共空間にカメラを大量に設置し個人の画像を収集して行動分析の実験をする、Suicaなどの電子マネーの使用履歴を分析してサービスを提供する、といったことに対して、気持ち悪いとか、人に見られたくない、といったネガティブな意見が数多く見られました。

この連載の第2回で触れたように、これからセンサーはさらに高度になります。実世界で何が起きているか、そこで個人がどのように行動しているかを、細かく取得できるようになります。センサーでの情報収集、ネットワークを通じてクラウドに蓄積し、分析することで、ロボット化したシステムは、私たちの細かな行動を知ることができるようになります。特に意識せずにシステムに依存しサービスを享受するのか、それともシステムに反対して一切の関わりを断つようにするべきでしょうか。

こうしたロボット化したシステムの発展を、私たちはどう捉えれば良いのでしょうか。

次回は、センサーデータの管理、活用について解説します。

#1 最新ロボットは人型じゃない?
#2 私たちの身近に広がるセンサー
#3 センサーデータを使ってロボットを賢く!
#4 ロボットは個人の情報を収集している?
#5 センサーデータって誰のもの?

※記事の内容は、執筆者個人の考え、意見に基づくものであり、明治大学の公式見解を示すものではありません。

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