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#3 ウイルス以外にも見えないリスクってあるの?

鈴井 正敏 鈴井 正敏 明治大学 経営学部 教授

文明化社会に生きること自体に見えないリスクがある

ウイルスの怖さのひとつは、見えないことでしょう。すぐ側にいたり、体内に侵入しても見ることができず、気がつくのは、それによってなんらかの症状が出てきたときなのです。

まったく同じことが、いわゆる生活習慣病にも言えます。すなわち、そこには目に見えないリスクがあるのです。

例えば、肥満などは目に見えるので、なんとかしようと思う人は多いでしょう。ところが、動脈が硬くなる動脈硬化は、進行していてもなかなか気づけません。しかも、その進行は幼少期から始まっているのです。

動脈硬化は、動脈の内膜にコレステロールやカルシウムなどが蓄積していくことで進行します。コレステロールの蓄積をアテロームと言います。このアテロームによって動脈が閉塞するほどになると、体には様々な症状が出てきます。つまり、心筋梗塞や脳梗塞など、命が危険な状況になって初めて気がつくというわけです。

なぜ、こうしたことが起こるのでしょうか。現代ではどこへ行くにしても乗り物を利用することができます。私たちにとって、電車や自動車で移動することは特別なことではなく、日常の当たり前のことです。しかも、毎日、高カロリーの美味しい食事をとることも普通のことになっています。

これらは私たちにとってごく日常のことです。しかし、この運動不足と栄養過剰が、動脈にアテロームを蓄積させることに繋がるのです。

文明化社会では、普通に生きているだけで、健康を害するリスクがあるのです。このことを、私たちはもっと意識する必要があります。

目に見えなくても、動脈硬化は着実に進行し、中高年期になると様々な形で現れます。すると、医療体制がしっかりとしていて、生きる環境が整っている日本社会では、平均寿命は年々伸びても、元気で自立していられる健康寿命とのギャップが開いてくることになりかねません。

高齢になっても元気で暮らすためには、若い頃から、日常の中にある見えないリスクを認識し、適度な運動を継続するなどの対策を、意識的に行うことが必要になってくるのです。

その意味では、2020年の新型コロナウイルスによるパンデミックが、見えないリスクに対する意識を高めるきっかけになれば良いと思っています。

コロナウイルスは、また、それ自体が目に見えないだけでなく、生活習慣病に結びついて威力を発揮するウイルスなのです。

次回は、コロナウイルスと生活習慣病の関係について解説します。


#1 免疫力を上げればウイルスに負けない?
#2 運動するほど免疫力は上がるの?
#3 ウイルス以外にも見えないリスクってあるの?
#4 生活習慣病の人はコロナに罹りやすい?
#5 健康に暮らすためには工夫が必要?
#6 ライフスタイル・マネジメントってなに?

※記事の内容は、執筆者個人の考え、意見に基づくものであり、明治大学の公式見解を示すものではありません。

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