
アイデアの泉生の情報に沢山触れ、自分の考え方を相対化しよう
教授陣によるリレーコラム/アイデアの泉【21】
発想力を高めるには、自分の目で見て、自分で考えることが大切です。そのためには、素材にたくさん触れなくてはなりません。立場や考え方が異なる人の話を聞くのはもちろん、日本だけでなく世界の動向を気にかけることも必要です。
実際に世界各地にマメに足を運ぶのが理想ですが、そうもいきません。そこで、学生にもよく勧めているのですが、NHK衛星放送の「ワールドニュース」はとてもよい素材だと思います。欧米だけではなく、アジアやアフリカ、中東など、世界中のニュースを画像つきの同時通訳で見ることができます。
国によって問題にする事象が違っていたり、たまたま世界共通のテーマを扱っていても、日本と海外では取り上げ方が異なっていたり。そういう点を観察していると大変興味深いです。
このような多様性に触れることによって、自分の考え方を相対化でき、アイデアにも結びつくのだと思います。
同様に、いまの時代、企業経営にとってNGOとの対話はますます大事になってきています。基本的に企業は利益志向、NGOはミッション志向と、そもそもの行動原理や物の考え方は違いますが、お互いを見ながらその距離を縮めています。
NGOはビジネスの手法が課題解決に必要であると気づき、企業も利益だけでなくミッション(崇高な理念というより、社会における自社の存在意義を考え、課題に対するビジネス・ソリューションを生み出すこと)が重要だと、問題の核心を理解し始めているのです。
「立場や考え方の違う人とは打ち解けて話せない」と、仲間内に閉じこもってしまっては進歩がなくなり、見方も偏ってしまいます。アンテナを高く、関心を広く持ち続けることで、個別の事象の繋がりや新たな意味が見えてくることでしょう。
※記事の内容は、執筆者個人の考え、意見に基づくものであり、明治大学の公式見解を示すものではありません。