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温故知新の精神で世界を読み解く力を身につけよう

明治大学 経営学部 准教授 折方 のぞみ

ときに人生の指針となり、仕事のヒントとなり、コミュニケーションツールの一助となる「読書」。幅広い読書遍歴を誇る明治大学の教授陣が、これからの社会を担うビジネスパーソンに向けて選りすぐりの一冊をご紹介。

教授陣によるリレーコラム/40歳までに読んでおきたい本【27】

ベネディクト・アンダーソン『定本 想像の共同体―ナショナリズムの起源と流行 (社会科学の冒険ll期 4)』(白石隆・白石さや訳・書籍工房早山・2007年)
レジス・ドゥブレ・樋口陽一・三浦信孝・水林章・水林彪『思想としての〈共和国〉 日本のデモクラシーのために 増補新版』(みすず書房・2016年)

『想像の共同体』は、アメリカの政治学者ベネディクト・アンダーソンが、ネーションとナショナリズムについてそれを集団的な想像力の産物とする大胆な発想の転換を提案し、この分野に新たな地平を拓いた世界的ベストセラーです。

本書は1987年初版の古典ですが、1991年に増補版が出た後2006年に新たな書き下ろし原稿「旅と交通」が加えられ、現在でも読み応えのある一冊になっています。

本書の特徴はフィールドを東南アジアなどいわゆる「辺境」にまで広げている点と、出版資本主義の重要性を軸に国民国家論を展開している点です。

グローバリズムの行き詰まりが囁かれる現在、こうした古典を改めて読むことで「国民国家とは何なのか」という根本的な前提に立ち戻ることも大切です。

ナショナリズムの歴史について学んだ上で初めて、そこへの回帰なのかその先への挑戦なのかの議論が可能となるのではないでしょうか。

『思想としての〈共和国〉』は、フランスの共和国思想について紹介した上で、日本の民主主義をどう考えるのかを論じた一冊です。

2006年に出版後、安全保障関連法施行を受け改訂され、今後の日本を見据えた形での新たな書き下ろし原稿も収録されました。

普段はもっぱらアングロサクソン的なcitizen(国家からの制約を受けずに経済活動を営む私人)として自らを定義している私たち日本人にとって、共和国市民はcitoyen(国家の政治に参加する自由を担う公民)であるというフランス的な発想は、日本における民主主義のあり方を問い直す上でも大変参考になります。

年齢を重ねるごとに読みたい本と読まなければいけない本との間で葛藤に苦しむ日々が増えますが、読書は出会いでもあります。普段馴染みの薄い分野へのチャレンジは自分の中の引き出しを増やし、視野を広げてくれます。

上記二冊は比較的読みやすく知的好奇心を刺激するワクワクを与えてくれますので、難しそうと敬遠せずに手にとってみていただけたら幸いです。

※記事の内容は、執筆者個人の考え、意見に基づくものであり、明治大学の公式見解を示すものではありません。

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