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#7 でも、地方は消滅するって本当?

小田切 徳美 小田切 徳美 明治大学 農学部 教授

私たち生活者の中から始まっている都市と農山村の共生社会。

この連載の第1回で、日本社会はどうあるべきかを考えたとき、2つの選択肢があると言いました。ひとつは、都市社会国家で、もうひとつが、都市と農山村の共生社会です。実は、2014年5月に発表された日本創成会議・人口減少問題検討分科会のレポートでは、「今後、消滅する可能性が高い」とする市町村を名指しし、「地方たたみ」を目指していると思われるような動きが起きたのです。まさに、効率的で安上がりの都市国家づくりです。ところが、この連載をここまで読んでいただいた方はもうおわかりの通り、都市から農山村に関心や関わりを持つ人々は増え続けています。それも、都市から地方への一方的な関係ではありません。例えば、「地域おこし協力隊」をはじめとした地方に関わる活動に参加する人たちには、当初は、衰退する地方が可哀想とか、救いたいという思いがあったかもしれません。しかし、実際に農山村に住み、現場とじっくりとつきあえばつきあう程、農山村は遅れている社会であるとか、都市から一方的に救われるような関係ではなく、都市と農山村がそれぞれの良さやメリット、強みを活かして、相互補完的に共生していく関係であることがわかってくるのです。だからこそ、若者の一部は、「ソーシャル・イノベーター」として、こうした共生関係をより強くものにしていくことに関わるものが増えているのです。そのような動きがますます前進すれば、農山村は消滅しません。そして、新たに危機が叫ばれている都市を持続的なものへと変えて行く力となるでしょう。

この連載の読者の皆さんや、皆さんの周りにも、田園回帰を希望している人がいると思います。それを実現するために、地方との関わりの活動なども紹介してきました。しかし、農山村での生活レベルを上げるためには、生活交通の問題、いわゆる買い物難民の問題、医療の問題など、解決すべき地域課題はたくさんあります。そうした課題にも、住民がNPO法人を立ち上げて交通手段の提供を行ったり、住民が出資してガソリンスタンドや商店を経営したりしていますが、そのような内発的な動きを支えるためにも、やはり行政の支援は重要な要素となります。国や自治体レベルの政策的な力と地域の内発的動きの両者が結びついた中で、展望が見えてくるものだと思います。この地域の力と政策の力のバランスや結合のあり方こそが重要で、二者択一ではありません。

以上のように、農山村問題は、社会のあり方に、行政のあり方にも繋がる、日本の将来を考える「窓」と言っても過言ではありません。現場を歩き、地域の皆さんと、そして学生と一緒に考えていきたいと思います。読者の皆さんの参加も大歓迎です。

#1 「地方創生」って、都市には関係ないでしょう?
#2 田園回帰って、どうやったら上手くいく?
#3 地方の生活に関わってみたい!! でも、どうやって?
#4 地方での活動を成功させる方法は?
#5 都市か地方の二者択一じゃなくても良い?
#6 農学部が人気なのはなぜ?
#7 でも、地方は消滅するって本当?

※記事の内容は、執筆者個人の考え、意見に基づくものであり、明治大学の公式見解を示すものではありません。

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