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男か女かハッキリしたがる/させたがる不思議

佐々木 掌子 佐々木 掌子 明治大学 文学部 准教授

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最近、LGBTという言葉や、性同一性障害という言葉をマスメディアなどでも目にする機会が増えました。性の多様性に対する理解が進んでいると思われる一方、国会議員が同性愛者を差別する言動を起こしたりもしています。その根底には、依然として、性の多様性に対する誤解や偏見があるからではないでしょうか。臨床心理学を研究する佐々木掌子先生にお話をお聞きしました。

6歳の子でも悩まされる性別と性役割

15才以下のLGBTかもしれない子どもと保護者の交流会「にじっこ」を共同主催している
15才以下のLGBTかもしれない子どもと保護者の交流会
「にじっこ」を共同主催している

 私は臨床心理学の立場で、ジェンダーに関するカウンセリング等を行っていますが、中には、まだ小学生なのに「死んじゃいたい」と述べる事例もあります。

 スカートをはきたがったり、可愛らしいものを好んだりする男の子に対して、周りの子が「女みたい」とか、「オカマ」と揶揄することはよくみられます。

 揶揄している子たちは、それがそんなに酷い言葉だとは思っていません。みんなと違う様子であったり、違うことをする子に目がいき、それを指摘する言葉として「オカマ」と言ったり、あるいは、その違いをちょっとからかう程度の気持ちで「女みたい」と言って笑うのでしょう。あるいは、「男なの?女なの?どっちなの?」と不思議でたまらないという様子で、何度も何度も聞いてくるということもよくありますね。

 でも、言われた子はすごく悩みます。着たいと思う服を着たり、好きなものを持ったりしているだけなのに、それを否定的に見られることに驚き、自分がいけないのか、自分が間違っているのかと、戸惑い、不安になるのです。そして、男か女かどちらかに決めなくてはならないという思いも強くします。

 どうして、こういうことが起きるのでしょう。人は生まれると、保護者はもちろん、テレビやゲーム、外にいるいろんな大人たちなど、周囲から様々なことを学習していきます。その中でも、性別に関することは特別なしつけを受けなくても、間接的に観察するだけでもどんどん学習が進みます。

 5歳くらいの子どもは、非常にリジットな(硬直した)理解をするといわれています。男の子はこうである、女の子はこうであるという、二分化した思考です。それは、まだ脳が発達途中のため、複雑な認知が難しく、右か左か、○か×か、黒か白かと、物事を2つに分けると、とても理解しやすいからです。

 ズボンをはくのは男の子、スカートをはくのは女の子、という性別での紐づけができると、そこから逸脱するものはおかしいもの、変なものになります。しかも、それは笑ったり、気持ち悪がったりしても良いのです。なぜなら、大人がそうしているのを学習しているからです。

 ピンク色のものは女の子のものという二分化思考から、ピンク色のものを持つことを頑なに拒むような男の子がいるのは至極当然でしょう。笑われたら困るからです。「男とはこういうものである」という縛りは、ごくごく小さいうちから始まっています。

 こうした子どもたちの状況を、大人である私たちは、まだ幼い子どものことだからとか、成長すれば認知能力が高まって二分化思考をしなくなり、多様性を理解できるようになるので大丈夫、などと言っていられるでしょうか。

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