明治大学の教授陣が社会のあらゆるテーマと向き合う、大学独自の情報発信サイト

悲愴をユーモアに変容する哲学を始めよう

明治大学 文学部長 教授 合田 正人

いま、哲学が注目されているといいます。急激に発展するAIやITの技術によって社会が変革され、一方で心理学や社会学が注目されてきた中、なぜ、いま哲学なのか。それは、既存の土台に対する不安や懐疑を払拭するための考え方が求められているからでしょう。

哲学には、フッと息を抜くアプローチもある

合田 正人 哲学というと、真理の探究とか、生き方の根源を問うような学問というイメージを抱いている人が多いと思います。確かに、そうした側面はありますし、それは大事なことでもあります。しかし、哲学とは、それだけではないと私は思っています。例えば、いま、多くの人が様々なことに不満や疑問をもっていると思います。なぜ、毎朝満員電車に乗って会社に行かなければならないのだろう、なぜ、物事は計算した通りに進まないのだろう、なぜ、自分のやることは上手くいかないのだろう、と。その原因や打開する術を深く考え、追求することも必要ですが、そのとき、フッと息を抜くこと、別様に考えてみることも、とても大事だと考えるのです。そのとき、別様に考えてみることは、ある種の楽しみ、ユーモアであって、圧し潰されて窒息しそうな現状から、軽くなることができます。根源的に問うて考え抜く正面突破だけでなく、ある意味、そこからフッと身をかわすこと。それも哲学のひとつのあり方だと、私は思っています。

 こうした別様の考え方をすることは、アブダクションなどと呼ばれることもありますが、実は、科学の歴史的な発見の多くが、そういう瞬間に起きていることが知られています。私たちも日常で、答えが見つからずに悩んでいるとき、例えば、コーヒーブレイクのとき、お風呂に入っているときなど、フッと息を抜いたときに、新しいアイデアが浮かぶ経験をした人も多いのではないでしょうか。それは、発想のちょっとした転換によってもたらされるのです。

社会・ライフの関連記事

増える、ひとり暮らしの高齢者が楽しい生活をおくるには

2019.10.16

増える、ひとり暮らしの高齢者が楽しい生活をおくるには

  • 明治大学 専門職大学院 ガバナンス研究科 教授
  • 岡部 卓
増税による負担増ばかりではなく、受益増についてみんなで考えよう

2019.10.9

増税による負担増ばかりではなく、受益増についてみんなで考えよう

  • 明治大学 政治経済学部 専任講師
  • 倉地 真太郎
知的財産を侵害する模倣品によって被害を受けるのは?

2019.10.2

知的財産を侵害する模倣品によって被害を受けるのは?

  • 明治大学 専門職大学院 グローバル・ビジネス研究科 教授
  • 熊谷 健一
自治体の予算案に見える、「いま」に応え、「未来」を創る姿勢

2019.9.25

自治体の予算案に見える、「いま」に応え、「未来」を創る姿勢

  • 明治大学 専門職大学院 ガバナンス研究科 教授
  • 小林 清

Meiji.netとは

Meiji.net英語版

新聞広告連動企画

新着記事

2019.11.20

ゲノム編集で不妊症の原因を解き明かす

2019.11.13

音声合成技術によって「人間を超える声」が生まれる!?

2019.11.06

SDGsは、企業の社会における存在意義を問うもの

2019.10.30

再生医療の進歩にも繋がる、独自の人工骨開発技術がある

2019.10.23

渋沢栄一に学ぶ、多様な立場、多様な経験を活かす生き方

人気記事ランキング

1

2019.11.20

ゲノム編集で不妊症の原因を解き明かす

2

2019.11.13

音声合成技術によって「人間を超える声」が生まれる!?

3

2018.05.23

衰える結婚、止まらぬ無子化 ――このままでは日本の未来が失われる

4

2018.07.18

気候変動に関する日本の優れた農業技術が世界を救う!?

5

2017.10.04

精神鑑定は犯人救済のために行うのではない

Meiji.net注目キーワード

【注目!】連載コラム