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悲愴をユーモアに変容する哲学を始めよう

明治大学 文学部長 教授 合田 正人

いま、多島海を漂流する現代人にとって必要な哲学という船

 2018年、本学に哲学科が新設されます。なぜ、いま哲学なのかという声もあります。それは、心理学や社会学との違いを考えるとわかります。心理学では、心というものがあるという前提で考えます。心をあるべき姿、より良き形にしようと考えるわけです。哲学では、心とはあるのではなく、生まれるものだと、私は考えます。人と人が話をしたり、顔を見合わせたり、体が触れあったり、そのとき、そのときに、発生するのが心であり、もともとあるものだとは考えません。社会も同じです。社会はあるものとして、それを前提に考えるのではなく、人と人が出会い、集まり、共生が始まることによって、初めて社会というものが生じると考えます。前提はないのです。

 私は、世界は多島海だと考えています。そこかしこに、大小様々なたくさんの島が浮かんでいる大海原です。島はどれひとつとして同じものはなく、移動して、離れたりくっついたり、沈んだり浮かんだりして、変化し続けています。確固たる大陸などありません。まず、何かがあるのではなく、変化し続ける中で現れるのです。世界をこのような多島海と捉えると、前提としてあると思っていた大陸という確固たる土台が実は虚偽であるとき、私たちは海を漂流するような感覚に襲われます。この不安な感覚を、ある種、ユーモアのあるものに変えていく感性と情念の変容のエクササイズ、それが哲学プラクティス(実践、訓練)であると、私は考えています。それは、異質なリズムをやり取りする場にもなります。端っこにあって中央となる、そのような哲学が、いま、多島海を漂う現代人へのひとつの提案であり、本学哲学科が目指すものでもあります。

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※記事の内容は、執筆者個人の考え、意見に基づくものであり、明治大学の公式見解を示すものではありません。

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