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共感を得るのは身体表現をともなったコミュニケーション

明治大学 理工学部 教授 嶋田 総太郎

身体を置き去りにしていたネットのコミュニケーションにも変化

 人間以外の動物にもある脳のミラーシステムが、人間だけが構築し得た高度な社会形成につながっていったのは、人間には他者をもっと理解したいという強い潜在的欲求があり、それがミラーシステムを介したノンバーバル・コミュニケーションを発達させ、さらにより高度なメンタライジングへとつながっていったからだと思います。その意味で、脳の持つコミュニケーション能力にとって身体の関わりが非常に重要であることがわかります。

 当初は、メールなどテキストベースであったネットのコミュニケーションが、絵文字やスタンプを多用するようになり、最近では、写真や動画の共有へと推移してきているのは、通信技術の進歩ももちろんありますが、身体が欠落した言語コミュニケーションでは伝えきれないものがあることを、社会としても認識してきたからではないかと思います。写真や動画は、身体表現によるコミュニケーションをある程度補完できると考えられます。いまでも、いわゆる炎上騒ぎや罵り合いのような形になるのは、テキストベースのやり取りや参加者の匿名性が高い場合が多いようです。だれとでも手軽にコミュニケーションがとれるネット社会によって、一見、コミュニケーションが濃密化したように見えながら、実は、身体を置き去りにしたコミュニケーションではそれが逆に希薄化し、身体レベルの共鳴による共感が起き難くなっていることを、認知脳科学の観点から、あらためて指摘することができます。

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※記事の内容は、執筆者個人の考え、意見に基づくものであり、明治大学の公式見解を示すものではありません。

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