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効果的な高齢者用補聴器を目指して、1/100秒の壁に挑む

明治大学 理工学部 専任講師 村上 隆啓

いま日本では、4人に1人が65歳以上の高齢者という高齢社会を迎えています。高齢者が安全に快適に暮らすためには、加齢とともに低下する身体の機能を補助する仕組みが必要です。そのひとつに、補聴器の開発があります。実用的な補聴器を目指す研究に、本学の理工学部も取組んでいます。

老人性難聴は誰にでも起こりうる現象

村上 隆啓 人は年を取ると、だんだん音が聞こえづらくなっていきます。以前は、脳の機能の低下により、音は聞き取っていても、それを聞き分けたり理解する能力が衰えることが原因とも思われていましたが、最近では、耳の機能の低下も原因の1つではないかと言われるようになっています。音は、簡単に言うと空気の振動ですが、人はこの振動を耳たぶで集め、耳の穴で増強させ、鼓膜を振動させて中耳に伝えます。中耳の奥には蝸牛(かぎゅう)という器官があり、そこには毛の生えた細胞がびっしりと並んでいて、その毛が音の振動を電気信号に変えて脳に伝達しています。ところが、年齢とともにその毛が衰えていってしまうのです。毛がショボショボになり、伝わってきた振動を上手く拾えなくなるといったイメージです。これが老人性難聴と言われるものです。一般に、年を取ると耳が遠くなる、と言われる現象です。実は、この蝸牛にある有毛細胞は、人が生まれたときが最もびっしりと並んでいると考えられます。赤ちゃんのときと、その後を正確に比較したデータはありませんが、幼稚園児と小学生を比べると、明らかに幼稚園児の方が有毛細胞は元気で、したがって、聴力も優れているのです。つまり、蝸牛の有毛細胞の衰えは老化現象のひとつであり、老人性難聴は、進行に個人差はあっても、誰にでも起こる現象であると言えます。

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