明治大学の教授陣が社会のあらゆるテーマと向き合う、大学独自の情報発信サイト

あなたのスマホは、あなたの情報を収集するスパイ!?

齋藤 孝道 齋藤 孝道 明治大学 理工学部 教授

コンピュータのAI化やITの進展にともなって、私たちの生活はどんどん便利で快適になっていくように思われます。しかし、その便利さの裏で非常に危険な状況が生じていることに、日本人は無頓着すぎるといいます。一体どんな危険が生じているのでしょう。

ITが社会インフラ化する裏で個人情報の収集が行われている

齋藤 孝道 ITが社会インフラ化し、様々なシステムとの相互依存度が高まると、ITシステムの障害やトラブルが大きな社会問題になることは容易に想像できるでしょう。例えば、事故や自然災害などで電気が止まると、市民生活や社会機能がストップし、パニックが起こるのと同じです。しかも、コンピュータネットワーク上では、それが事故や自然災害ではなく、悪意による、いわゆるサイバー攻撃によって起こることが恐いのです。コンピュータが私たちの生活に欠かせないものになっていくほど、それは新たな社会の脆弱性、弱点となり、また、個人にとっても権利や主体性の問題に関わってきます。

 こうした問題が身近に起こっていることだと思わせた事件のひとつに、2013年に発覚した、いわゆるスノーデン事件があります。アメリカのNSA(国家安全保障局)が一般の人たちの電話やメールを傍受していたことを、元CIA(アメリカ中央情報局)職員のエドワード・スノーデン氏が暴露した事件です。アメリカ政府は、テロ対策のために必要な活動だったとしていますが、政府が一般市民の通信を密かに傍受していたことは大問題ですし、それとともに、大手のIT関連企業9社がその活動に協力し、個人の通信情報をNSAに渡していたことを私たちは知ったのです。これは、遠いアメリカの、他人事の話ではありません。私たち日本人にとっても、日常使っているスマートフォンはもちろん、OS、アプリやサービスも、ほとんどがこれらのIT関連企業によるものなのです。つまり、私たちに欠かせない道具になっているものが、私たちの個人情報を収集する道具でもあり、IT企業はその気になれば、その情報を欲する政府でも、第三者にでも、受け渡すことができるということです。こうした状況を知ったヨーロッパの国々では、IT企業による個人情報の収集を規制しようという動きを進め、企業に多額の制裁金を課すケースも出てきています。

IT・科学の関連記事

アインシュタインはいかにしてアインシュタインになったのか

2022.6.17

アインシュタインはいかにしてアインシュタインになったのか

  • 明治大学 政治経済学部 准教授
  • 稲葉 肇
民事裁判のIT化は迅速化のためだけではない

2022.5.25

民事裁判のIT化は迅速化のためだけではない

  • 明治大学 法学部 准教授
  • 栁川 鋭士
日本の折紙が世界にイノベーションを起こす

2022.4.20

日本の折紙が世界にイノベーションを起こす

  • 明治大学 研究・知財戦略機構 研究特別教授
  • 萩原 一郎
あなたが見てるものは、実際のものではなく、錯視かもしれない

2022.4.6

あなたが見てるものは、実際のものではなく、錯視かもしれない

  • 明治大学 研究・知財戦略機構 先端数理科学インスティテュート 研究特別教授
  • 杉原 厚吉
ダークウェブで暗号資産が通貨になっている理由を考えると…

2022.3.18

ダークウェブで暗号資産が通貨になっている理由を考えると…

  • 明治大学 商学部 准教授
  • 土屋 陽一

新着記事

2022.07.06

補助金を巡る意識改革が必要

2022.07.04

スマート社会の実現を私たちも考えよう

2022.06.28

コミュニケーションを第一に、家族を大切にしよう

2022.06.22

ゲームのスキルは、その子の「資本」になる

2022.06.21

地道でも “源”から、理解するようにしよう

人気記事ランキング

1

2020.11.04

私たちの身近にある熱エネルギーには多様な可能性がある

2

2020.04.01

歴史を紐解くと見えてくる、台湾の親日の複雑な思い

3

2022.06.22

ゲームのスキルは、その子の「資本」になる

4

2018.01.26

#3 日本国憲法は「押しつけられた憲法」か?

5

2022.02.10

西欧でも関心が高まる、私たちが知らなかったイスラム教の魅力

連載記事