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高級熟成肉を身近なものにする!? 産学共同開発の「発酵熟成肉」

村上 周一郎 村上 周一郎 明治大学 農学部 教授

食肉企業との異分野コラボ

 実は、食肉業者にも、ドライエイジングの熟成肉を作るのにはリスクがあります。まず、熟成期間に3ヵ月間かかること。ウェットエイジングならば3ヵ月間で3回出荷できますが、 ドライエイジングは1回しか出荷できません。また、食の安全性の問題もあります。肉を熟成させる庫内には、付いて欲しい菌だけでなく、様々な菌が生息しています。付いて欲しい菌にとって最適な生育環境をどんなに整えても、例えばそれはケカビという菌で、生えると肉の表面は白っぽい獣の毛のような菌糸で覆われますが、実際は所々は朱色や緑の菌が生え、かなりまばらな感じになります。ケカビが先に生えてバリテリアを他のカビの生育を抑えてくれれば良いですが、菌の生育の早い者勝ちなので、常にリスクがともないます。また、肉を出荷するときは、ケカビの白い部分を含め、表面を1センチから1.5センチほど削り落とします。歩留まりが低いので、当然、ドライエイジングの熟成肉は価格が高くなるわけです。

 現在、パートナーとして一緒に「エイジングシート」を開発し、また、最初に「熟成肉」について疑問を投げかけてきた外食企業の代表から、こうした問題を聞いたとき、微生物の専門家である私の立場からは、熟成肉で生育している優良菌を上手く利用できないかと考えました。確かに畜産学と応用微生物学の分野は本来は異分野で、これまでコラボすることはまずなかったのです。微生物の研究を幅広い視点から捉えることに興味をもっていた私は、産学共同研究をスタートさせました。その結果、誕生した製品が「エイジングシート」なのです。

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