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多様な世界に飛び込み自分の殻を破るために、いまこそ留学

小林 明 小林 明 明治大学 国際日本学部 准教授

アメリカをはじめ、世界的に自国主義の傾向が強くなっています。こうした流れに歯止めをかけるために、国際教育の重要性が再認識されていますが、その国際教育の一環である海外留学は、日本人の場合、年々減少傾向にあるといわれます。対策が必要です。

国政にも日常生活にも大きく働いている内向き思考

小林 明 トランプ政権のアメリカファーストだけでなく、世界中で保守的な自国主義が大きく台頭しています。このような国家主義的な動きだけではありません。私たちの周りを見回しても、いじめ問題やヘイトスピーチ、また、親殺しや子殺しのような非常に悲惨なニュースなども、その根幹には、内向き思考が非常に大きく働いているように思われます。外との接点が非常に少なく、自分の殻に閉じこもってしまうと、他者に寛容であったり、他者と協調したり、協力したりする感覚が衰退し、どんどんエゴ丸出しの行動に偏っていってしまうのです。このような状況に対処するためには、いじめをしている子を懇々と諭したり、罰したりするとか、ヘイトスピーチをした者を取り締まる法律を強化したりするなど、対処療法的な方法を考えがちですが、そのような方法では決して解決できないと思います。必要なのは、包括的に多方面からの対策を講じることです。そうした対策の根幹となる、最も大切な部分が教育であろうと考えます。特に、国際教育という領域を各教育のシステムの中に組み込んでいくことが重要だと考えています。

 なぜ、国際教育なのか。実は、教育そのものは極めて内向きなものです。その国で行われている教育とは、その国の国民を一定の方向に意図的に誘導するものなのです。もちろん、それはそれで必要なことではあります。しかし、そうした教育を受けた様々な国の人たちが出会うと、衝突が起こることになります。もともと、人は自分が住んでいる世界のことしかわからないものです。その世界が、実はとても狭く、これですべてだと思っていると、それは、まさに井の中の蛙で、世界は自分が知っている以上に広く、多様な人もいれば、様々な文化もあります。そういう世界に触れていくことで、初めて自分の文化も正しく認識できるようになるのです。だから、国際教育の領域を各教育のシステムの中に組み込む必要があるのです。こうしたことは、すでに1974年、ユネスコが「国際教育の勧告」でうたっています。しかし、それから40年以上を経た現在の世界の動向を見ると、世界各国でこの勧告の取組みが充分になされていなかったと思わざるを得ません。

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