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教員が多忙でも頑張れるのは、良いこと?

高野 和子 高野 和子 明治大学 文学部 教授

学生たちにとって教職は憧れの仕事であり続けるようにしたい

 近年は個人情報の問題もあるので、昔のように「まるごととらえる」のは難しいかもしれませんが、子どもとのこのような関わり方が、いまでも教員のモチベーションであることに変わりはありません。本学で教職課程を取り、日本とドイツの両方での教員経験のある人が、授業だけを担当すればよいドイツの学校ではなんとなく物足りなく感じると言っていました。日本のように、進路指導も放課後もと子どもと関わっていくことに、教員という仕事の喜びがあったというのです。日本の教員は授業に限定されずに子どもと関わり、幅広い豊かな教育活動で子どもを伸ばそうと努力してきました。子どもに関わることすべてが仕事だから、勤務時間という感覚がなじみにくいのです。

 こうした教育活動によって教員が過重勤務となり、一般社会の感覚でブラック企業となっているのですから、非正規教員を増やしてしのごうとするのではなく、教員を取り巻く環境の改善や、教育現場の制度などを見直すこと自体が重要です。同時に、教員の働く姿は、子ども(次の世代の働き手)が働き方に関わる感覚を身につける最も身近なモデルでもあります。「働き方改革」が言われていますが、教員の多忙さを問題にするときは、問題が「先生はたいへん」で終わるものではなく、ひとりひとりの子どもの先々の人生に関わってくる、そして社会全体の働き方のスタンダードがどうなるかに関わってくるという点を考えてほしいと思います。

 現在、本学で教職課程を取っている学生が、教員を目指す理由を、「子どものとき、クラスで起きた揉めごとに対して、担任の女の先生が逃げずに筋を通して対応してくれました。その姿がとてもかっこ良くて、憧れたからです」と言いました。子どもは先生のことを本当によく見ています。良い面も、悪い面も。そして、その記憶がその子の職業選択を左右することもあるのです。私たちは、今後も教職が志のある優れた人たちを引きつける魅力的な仕事であれるよう、様々な点から努力していかなければいけないと考えています。

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※記事の内容は、執筆者個人の考え、意見に基づくものであり、明治大学の公式見解を示すものではありません。

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