マーケティングの真髄は試行錯誤
このように、「客観的に状況を捉え、主観的に仮説を立て、客観的に仮説を検証する」という客観・主観を繰り返しながら試行錯誤して、コンセプト策定と一貫した具現化を実行していきます。この試行錯誤がマーケティングの真髄です。
マーケティングの優れた企業は、失敗作が大量に転がっています。例えば、世界的な家電メーカーであるダイソンは大ヒットすることになる掃除機を開発するときに、試行錯誤を5000回行ったといいます。一方で、価値づくりの下手な企業は、失敗を極端に怖がり、検証を十分にしません。市場に投入した後でも、効果検証をあいまいにして、失敗と認めることを断固として拒否します。このような状態では、組織は何も学ぶことができず、いつまでも解決すべき問題とあるべき具現化にたどりつけないでしょう。
PDCAという単語はビジネスの現場で広く使われていますが、パワーポイント資料の中だけで存在し、まったく実行されていない懸念があります。ぜひオフィスを見渡して、転がっている失敗作の数を数えてみることをおすすめします。失敗を推奨し、失敗を認めないと、マーケティングはできません。
※記事の内容は、執筆者個人の考え、意見に基づくものであり、明治大学の公式見解を示すものではありません。