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株式投資は「愛ある金融」に変わり始めている

三和 裕美子 三和 裕美子 明治大学 商学部 教授

株式投資というと、値動きに合わせて頻繁に売買をして利益を上げるというイメージがありますが、近年、利益を得ることだけが目的ではない投資が世界的なトレンドになってきています。それは、投資をしたことがないという多くの人たちにも関わる、大きなテーマを含んでいます。

株式投資は儲かれば良い?

三和 裕美子 欧米に比べると、日本では個人で投資を行う人が非常に少ないといわれています。以前、内閣府が行った調査によると、株式投資を行ってみたいという人は11.4%で、行うつもりはないという人は82.7%でした。

 株式投資を行わない理由は、「株式投資に関する知識をもっていない」ことが33.3%、「損失のリスクがある」ことが32.5%でした。

 逆に、株式投資を行いたい理由は、「株価上昇による利益が期待できる」ことが49.4%、「配当益が期待できる」ことが37.1%でした。

 つまり、株式投資とは株価上昇や配当による利益が期待できる一方、投資のことがよくわからないし、損失のリスクがあるので、あまり行いたくないと考えている人が日本では非常に多いということです。

 確かに、その通りなのですが、実は、株式投資は利益を得るためだけのものではない、という考え方が世界的に起きています。それを知れば、投資を行うつもりはないという皆さんの、株式投資に対する見方が変わってくるのではないかと思います。

 もちろん、株式投資とは、投資家が利益を得るために行います。そのため、利益が得られると思えば短期でどんどん売買されます。

 現在、東京証券取引所での取引の半分以上(売買代金ベース)、AIを導入した1000分の1秒単位という超高速のHFT(High Frequency Trading)で行われています。

 さらに、資本主義の下では企業とは株主のものですから、株主である投資家の配当要求に応えるために、通常の利益だけでなく内部留保を取り崩して配当を出すような企業もあります。

 また、投資家側が大株主となって経営者を送り込み、その経営者によってコストカットや企業の資産や土地が売られ、それが投資家側への利益として流されるということも実際に起きています。いわゆるハゲタカファンドといわれるやり方です。

 これでは、企業は安定経営ができず、従業員はリストラされたり給与は上がらず困窮することになります。

 このような、利益のみを追求する短期的投資に対して批判の目が向けられたのは、リーマン・ショックが起きたことです。短期的投資が実体経済に危機を及ぼしたことで、株主利益第一主義という価値観を転換するような動きが高まっていくのです。

 その動きとは、実は、リーマンショックの20年前、1989年にアラスカ沖で石油タンカーが座礁する事故をきっかけとして始まっていました。

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