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管理だけでなく、働く側の意志を反映するものでもある

人事労務管理は企業経営では欠かせない機能のひとつですが、その意味を、人材をより有効に効率的に活用するための管理術としてだけ捉えている人も多いようです。

しかし、そもそもは、人事とは、ホワイトカラー、もしくはオフィスワーカーの管理であり、労務とは、労働組合との交渉ということです。

つまり、人事労務管理とは、ふたつの意味をもっているのです。単に人材を最大限に活用することではなく、企業側からの「働かせる」と、労働者側の「働く」というふたつの利害の接点、もしくは、そのふたつを調整するという役割があります。

言い換えれば、企業の理念や戦略に沿うような人材を採用し、適応させて管理するということと、労働者自身の働きがいと働く糧を得るということの、ふたつを調整するということでもあります。

近年では、人的資源管理という言い方もされるようになっています。そこには、経営戦略と人材の能力開発とを積極的に結びつける意味が含まれています。

けれども、人事労務管理は、管理という言葉が使われていますが、企業の戦略だけでなく、働く側にとっての働き方や、大きな意味で言えば、生き方が反映されるものでもあります。要は、働く者ひとりひとりが積極的に関わっていくべきものでもあるわけです。

ここにもうひとつの要素として、政府というものも入ってきます。将来を見据えた経済政策などによって、企業と労働者に様々なことが求められるのです。

つまり、「働かせる」こと、「働く」こと、そのための能力を「育成する」ことは、国がどういう社会を目指すのか、その大きな潮流の中で行われるということです。

こうしたことを踏まえた上で、以下のような、いま人事労務管理の論点になっていることを考えると、その意味が見えてきます。

●AI(人工知能)に人間の仕事が置き換えられる
●AI、ICT技術者の育成が急務だ
●生産性を高めなくてはいけない
●創造性や戦略立案力を高めなければならない
●日本型雇用慣行を改めてジョブ型雇用にすべきだ
●新規学卒一括採用をやめるべきだ
●フリーランスや雇用類似労働者の権利や社会保障を認めるべきだ
●非正規雇用労働者と正規雇用労働者の間の処遇格差を是正すべきだ
●所得格差とそこからくる大学進学率などの教育格差をなくすべきだ

次回は、人事労務管理の論点の背景について解説します。


#1 人事労務管理とは?
#2 日本は他国の下請け産業の国になる?
#3 労働者は三層化する?
#4 日本の労働者の二極化が進行する?
#5 働き方はいろいろあって良い?
#6 新規学卒採用はなくなる?

※記事の内容は、執筆者個人の考え、意見に基づくものであり、明治大学の公式見解を示すものではありません。

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