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#4 スポーツから数理技術を学ぶことができる?

中田 洋平 中田 洋平 明治大学 総合数理学部 准教授

無味乾燥な数式からより、ドラマ性のあるスポーツからのほうが入りやすい

いま、数理技術の研究者にとって、スポーツ関連が非常に興味深い分野となったのは、スポーツのデータ取得技術が急激に進歩したことがあるからです。先に述べたGPSをはじめ、軍事用であった物体追跡技術なども活用されるようになっています。

そうして得られる生きたデータを基に数理モデルによって計算した結果を、選手やボールの動きというリアルな現象とつき合わせて、すぐに検証できるわけです。

そして、その成果を選手やチームの強化に活用したり、スポーツ観戦をより楽しくすることに役立てられるのも、研究者にとっては非常に興味深い点です。

そういった意味では、計算の速度をさらに高め、より瞬時に情報を提示できるようにすることが課題のひとつです。

また、観戦者にとってさらに魅力的な付加情報を抽出することも常に考えていることです。

例えば、いま、カメラ技術の向上と人工知能の活用により、選手の姿勢情報を取り、3次元で再現することができるようになっています。

そこで、例えば、選手の手の位置や足の位置、体の向きなどによって、パスを受ける成功率がどう変わるのかとか、その選手の次のプレーを予測することはできないか、などを検討しています。

これが瞬時に計算できるようになれば、スポーツ観戦に、予測解説が当たるか、選手がそれを上回るプレーをするか、などの楽しみをさらに高めることができるようになるかもしれません。

また、こうした研究は、ビジネスパーソンの方々にとっても参考になるのではないでしょうか。

最近では、いわゆる文系出身のビジネスパーソンでも、データサイエンスや人工知能、プログラミング、数学などといった数理技術や情報技術を活用する機会が増えていると思います。

自ら分析や計算にたずさわることはないとしても、そうした技術によってどのようなことができるのか、どのように活用すれば有効なのか、といったことは理解しておくことが必要でしょう。

そのための学習のきっかけとして、スポーツのデータを教材にすることはお勧めです。なぜなら、スポーツのデータはインターネットなどで公開されているものも多く、比較的容易に豊富に入手できるからです。

スポーツが好きな人はもちろん、スポーツの知識が少ない人でも、数式が無味乾燥に感じて学習が進まないのであれば、スポーツの方がドラマ性や話題性があり、関わりやすいのではないでしょうか。

例えば、数年前に、サッカーにおける数理技術を解説した本が注目され、話題になりました。まずは、そうした書籍から入り、学んでいくのもひとつの方法だと思います。


#1 スポーツ観戦を楽しくする付加情報って?
#2 データ活用でチームを強くする方法とは?
#3 いままでにないスポーツ観戦ができるようになる?
#4 スポーツから数理技術を学ぶことができる?

※記事の内容は、執筆者個人の考え、意見に基づくものであり、明治大学の公式見解を示すものではありません。

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