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#2 データ活用でチームを強くする方法とは?

明治大学 総合数理学部 准教授 中田 洋平

ラグビーで最もタックルを受けない走り方を計算できる

数理技術とは、様々な事柄の関係性によって刻々と起こる現象を、数理モデルを立てて計算し、シミュレーションする技術です。

例えば、選手の最高速度や加速力などの能力をパラメータ化して、それを基に微分方程式を用いた数理モデルで計算すれば、何秒後か先のその選手が到達できる範囲を計算することができます。それを、私は選手到達可能領域と呼んでいます。

試合中、その選手がいる位置情報と組み合わせれば、その選手の数秒後の選手到達領域を常にシミュレーションしていくことができるわけです。

そこで、フィールド内にいる敵味方すべての選手に対してこの計算を瞬時に行っていくと、例えば、ラグビーにおいて、いま、ボールを持った選手は、どう走ったら相手から最もタックルを受けにくいかがシミュレーションできるわけです。

さらに、サポートする味方はどう走り、そこにどのタイミングでパスを出せば、相手にとって最も防ぎにくいのか。つまり、最も効果的なパスになるのかもシミュレーションできる研究も、私たちは進めています。

このように、ラグビーやサッカーのような混戦型チームスポーツにこの技術を応用すると、これからどういうプレーや展開が可能なのかを示すことができます。

すると、それを基に、いままでのプレーや展開より、もっと良いプレーや展開があることを発見し、その練習を積んでチームを強化することも可能になるのです。

実際、ラグビーの日本代表チームは、練習中からGPSの端末を着けて、選手個々の移動距離や速度、加速度などのデータを取り、このトラッキングデータを基にトレーニングを組み立て、選手のパフォーマンス向上を図りました。

こうした最先端技術を応用したトレーニングが、2019年のラグビーワールドカップにおける日本チームの大躍進に繋がった、ひとつの要因になったと思います。

さらに、先ほど述べたような数理技術を駆使すれば、チームとしての新たな戦略を練ることができ、それを練習に落とし込んで完成させていくこともできるわけです。

次回は、スポーツ観戦はどう変わっていくのかについて解説します。


#1 スポーツ観戦を楽しくする付加情報って?
#2 データ活用でチームを強くする方法とは?
#3 いままでにないスポーツ観戦ができるようになる?
#4 スポーツから数理技術を学ぶことができる?

※記事の内容は、執筆者個人の考え、意見に基づくものであり、明治大学の公式見解を示すものではありません。

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