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#1 企業の社会的責任とは?

明治大学 経営学部 教授 塚本 一郎

企業は社会の利益にも配慮しなくてはいけない存在になっている

近年、CSRという言葉を耳にすることも多いのではないでしょうか。Corporate Social Responsibilityの略称で、日本では「企業の社会的責任」と訳されています。そのため、企業の法令遵守のことと思っている人も多いかと思います。

しかし、そもそもは、環境問題が意識され始めた1990年代くらいから言われ始めた言葉で、企業の環境に対する責任や、社会貢献を行う責任など、企業が社会に対する責任ある経営を行うこと全般を含めた、企業活動全体を指す言葉です。

例えば、企業が利益を上げることは、株主や従業員に対する経済的な責任として重要です。それは、社会にも経済の活性化を生み出します。

しかし、そうしたポジティブなインパクトの一方で、商品が作られるプロセスなどにおいて環境破壊を起こしたり、労働環境が劣悪だったり、従業員に対する人権問題を起こすなど、ネガティブなインパクトを生むこともあります。

そうした負のインパクトを社会に与えない、という責任が企業に求められているということです。

実際、60年代から70年代にかけて、企業が起こした環境汚染は公害として社会問題となり、住民に対する補償や、大気や川の水質を戻すために、企業も国も何十年もかけて取り組むことになりました。

近年では、労働環境が劣悪で様々な労災を引き起こす企業が大きな社会問題となり、ブラック企業などと呼ばれています。

つまり、今日では、企業活動が社会に与える影響が大きく、企業は法令を守って自分たちの利益をただ追求していれば良い、という存在ではなくなっているのです。

企業は、企業と社会との関係性を意識して、社会の利益にも配慮しなくてはいけない存在なのです。逆に、それを怠れば、社会問題となり、非難されることになるわけです。

さらに、近年では、消費者の不買運動に繋がることもあります。例えば、アメリカのスポーツ用品の大企業が、ベトナムの下請け工場で違法な児童労働を行っていたことが発覚し、世界的なボイコット運動に広がったこともありました。

まず、CSRを正しく理解することが現代の企業には必要であり、それが企業の成長にも繋がるとともに、持続可能な社会の実現に貢献することになるのです。

次回は、CSRの具体的な考え方について解説します。

#1 企業の社会的責任とは?
#2 なぜ、CSRに取り組まなければならないの?
#3 CSRは企業の収益に繋がる?
#4 見せかけのCSRとは?
#5 私たちにできることとは?

※記事の内容は、執筆者個人の考え、意見に基づくものであり、明治大学の公式見解を示すものではありません。

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