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#1 少子高齢化による人口減少が問題なのはなぜ?

金子 隆一 金子 隆一 明治大学 政治経済学部 特任教授

人口ピラミッドが頭でっかちの社会は、人類にとって初めて

いま、日本は急激な少子高齢化によって人口が減少しています。それはどういうことなのか、あらためて考えてみましょう。

まず、日本の人口は2008年の1億2808万人をピークに減少し始め、現在では、160万人以上減っています。2020年代は毎年平均約60万人、2030年代には80万人ずつ減っていく見通しです。すると、2065年にはピーク時から約4000万人(ピーク時人口の3割強)も減ることになります。

ところが、年齢別に見ると、65歳以上の人口は、この間、むしろ500万人ほど増えます。つまり、減るのはもっぱら65歳未満の若い人口で、この層が4500万人減るわけです。

この不均衡な人口減少が少子高齢化による人口減少の特徴で、不均衡ゆえに様々な問題が生じるのです。

例えば、この2065年の人口は、昭和30年(1955年)頃に匹敵する人口です。しかし、まったく異なるのが、年齢別の人口構成比です。

昭和30年頃は、いわゆる生産年齢(15~64歳)人口が多く、人口ピラミッドは、まさにピラミッド型をしていました。ところが、2065年の人口ピラミッドは、70歳代辺りをピークとした頭でっかちの形になるのです。

この形は、その後、徐々に収斂していき細長い花瓶のような形になります。人口高齢化が止まるのはそのときであり、それは、今世紀中頃であろうと予測されています。

問題なのは、それまでの間、絶対数でも割合でも急速に縮小していく生産年齢層で、非常に多い高齢層を支えなくてはならないということです。

そのために、「少子高齢化」はやっかいな問題として、一般に認識されてしまっています。

しかし、冷静に考えれば、長く生きることは人類の大きな夢のひとつです。長寿そのものは喜ばしいことであり、素晴らしいことです。いま、人生100年時代などといわれるようになりましたが、100年も生きられるということ自体は、人類が夢に見た社会が実現することでもあるのです。

では、なぜ、高齢化が問題なのか。

そもそも、「高齢化」とは総人口に占める高齢者の割合が増えることです。だから、社会に生まれてくる子どもたちが多ければ、人が長寿になっても、高齢化社会にはならないわけです。つまり、「高齢化」は「少子化」によって引き起こされている現象なのです。

しかも、日本ぐらいの大きな規模の社会で、人口ピラミッドが頭でっかちの形になるという事態は、実は、人類にとって初めての経験なのです。

そのために、「少子高齢化」は出口の見えづらい大問題になっていると言えます。

次回は、親族ネットワークが構造的になくなっていくことについて解説します。

#1 少子高齢化による人口減少が問題なのはなぜ?
#2 日本の家系の半分は消滅する?
#3 社会保障制度は、人がつくるもの?
#4 65歳は老後じゃない?
#5 私たちは人類の大転機にいる?

※記事の内容は、執筆者個人の考え、意見に基づくものであり、明治大学の公式見解を示すものではありません。

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