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幕末の志士から、私心のない行動力を学ぼう

加藤 彰彦 加藤 彰彦 明治大学 政治経済学部 教授

めまぐるしく変化する世界情勢において、企業や組織が生き残っていくために、どんな人材が求められているのか。
さまざまな分野に精通した明治大学の教授陣が考える、これからの日本を担うリーダーに必要な力とは。

教授陣によるリレーコラム/私が考える「次世代リーダーに必要な力」【32】

日本はこの25年間、政権交代可能な二大政党制というアメリカ型の政治を目指し、いったんは政権交代を実現しましたが、結局は元の木阿弥。自民党、立憲民主党、国民民主党の構図は、かつての自民党、社会党、民社党のようです。過去と違うのは政治が全体として脆弱化したことでしょうか。同じことがリーダーシップにも言えます。

アメリカ大統領のような首相像を目標に、メディアも含めて政治主導を追求した結果、官邸主導の強いリーダーシップが実現しました。しかし、最近の霞ヶ関の不祥事に象徴されるように、現場の職員から官僚、事務次官、さらには大臣、官邸へと階段状に続く、忖度の連鎖の構造が生まれています。このことは、トップダウン型のリーダーシップが日本人には馴染まないことを示しています。一方、昔も今も日本人に合っているのは、広い人脈を持ち人望もあるリーダーが、私心を捨て、下からの意見も吸い上げて調整した上で、覚悟をもって決断するというスタイルでしょう。

このことがよく表れているのが幕末の時代です。江戸時代は自営業の家社会。一家、一族、共同体の大小様々なリーダーたちがつくる社会でした。その中で主体性を育んだ若者たちが党派を形成し、人望を得たリーダーが政治を動かしていきました。半分農民・半分商人の下級武士はこのようなひとたちです。今年は明治維新150年。私たちは、西郷隆盛や勝海舟、坂本龍馬のように、肝が据わって覚悟があり、皆の言いぶんをよく聞きつつも、大局を見極めて「命もいらず、名もいらず、官位も金もいらぬ」の精神で、説得しながら決断していくリーダーにこそ、学ぶべきでしょう。

※記事の内容は、執筆者個人の考え、意見に基づくものであり、明治大学の公式見解を示すものではありません。

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