明治大学の教授陣が社会のあらゆるテーマと向き合う、大学独自の情報発信サイト

#1 少子高齢化が進むと社会はどうなる?

明治大学 政治経済学部 教授 加藤 久和

世の中の気になる出来事をピックアップし、明治大学の教授陣がその専門的な視点からみなさんへのアドバイスを連載形式でお届けするトレンドウォッチ。今回は少子高齢化がテーマです。かなり以前からこの問題は大きく取り上げられていますが、果たして我々は普段の生活の中で、どの程度この問題を意識しているでしょうか?今回は、明治大学政治経済学部の加藤久和教授に、少子高齢化社会に向けて我々一人ひとりが何をすべきなのか、分かりやすく解説していただきました。

私たちの子どもたちは、いまの豊かさを享受できなくなる!?

最近、少子高齢化が大きな問題としてメディアで取上げられることも増えてきましたが、それが本当に深刻な問題であると実感している人はまだ少ないのではないでしょうか。実は日本の人口はここ5年間で約95万人減少しています。これは、ちょうど和歌山県一県分の人口に相当します。この少子化の傾向が続くと、2060年にはいまの人口の1/3が減り、8700万人程度になると予想されています。これは、昭和の初期の頃と同じくらいの人口です。しかも、その頃とは人口構成比がまったく違います。高齢者が多く、労働力人口が圧倒的に少ない社会になるのです。

このような社会になると、何より生産性が低下し、経済成長が望めません。AIやロボティクスの発展には期待しますが、いまのままでは労働力人口の減少スピードが早く、機械によってそれを補うまでに技術が発展するのは、まだまだ先といわれています。一方で、低成長時代になれば、それに応じた暮らし方をするようになるだろうという議論がありますが、それはあり得ないでしょう。例えば、道路や橋、水道といった私たちの生活に必須の公共財を享受し続けるためには、その老朽化に手立てをしていかなければなりません。私たちは、ある意味、自転車に乗っているようなものなのです。止まったら倒れてしまいます。私たちは、自分たちの子どもに江戸時代のような生活に戻ることを求められるでしょうか。いまの生活水準を将来にわたって維持するためには、ある程度の経済成長は必要なのです。その意味で、少子化対策はいま取組むべき最も喫緊の課題であるといっても過言ではありません。そして、そのためには、いまの私たち一人ひとりが負担や痛みを分かち合う覚悟をもつことが必要なのです。

次回は、私たちが分かち合う負担のひとつである税金について考えます。
 

#1 少子高齢化が進むと社会はどうなる?
#2 少子化対策のための予算を増やそう!!
#3 次の世代を助けるために、高齢者にお願いする応能負担
#4 地方創生にも痛みがある 一人ひとりが痛みの覚悟をすべき時代

※記事の内容は、執筆者個人の考え、意見に基づくものであり、明治大学の公式見解を示すものではありません。

連載コラムの関連記事

#3 労働者は三層化する?

2021.1.22

#3 労働者は三層化する?

  • 明治大学 経営学部 准教授
  • 山崎 憲
効率化が進む現代こそ「無駄」を大事にしよう

2021.1.21

効率化が進む現代こそ「無駄」を大事にしよう

  • 明治大学 研究・知財戦略機構 特任准教授
  • 山本 誉士
#2 日本は他国の下請け産業の国になる?

2021.1.19

#2 日本は他国の下請け産業の国になる?

  • 明治大学 経営学部 准教授
  • 山崎 憲
#1 人事労務管理とは?

2021.1.15

#1 人事労務管理とは?

  • 明治大学 経営学部 准教授
  • 山崎 憲
時代を映す作品から、幅広い視点を身につけよう

2021.1.14

時代を映す作品から、幅広い視点を身につけよう

  • 明治大学 文学部 准教授
  • 湯淺 幸代

Meiji.netとは

Meiji.net英語版

特別授業

新着記事

2021.01.20

日韓関係は韓国の歴史を知ることで見え方が変わってくる

2021.01.13

動物の移動や行動がわかると、効果的な環境保全もわかってくる

2020.12.23

「源氏物語」は批判精神に充ちた「硬派」の物語!?

2020.12.16

農村には「なにか」ある

2020.12.09

あなたは、得があれば個人情報を差し出しますか?

人気記事ランキング

1

2021.01.20

日韓関係は韓国の歴史を知ることで見え方が変わってくる

2

2020.04.01

歴史を紐解くと見えてくる、台湾の親日の複雑な思い

3

2019.04.24

子どもに会うための共同親権制度では本末転倒

4

2017.10.18

ゲーテッド・コミュニティの実態に迫り、その“可能性”を探る

5

2013.09.01

高信頼性組織とは何か ―失敗が許されない組織の条件―

Meiji.net注目キーワード

【注目!】連載コラム