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#2 日本政府の借金はなぜこんなに膨らんだの?

明治大学 商学部 教授 畑農 鋭矢

経済成長への期待から、本来は法律に反する赤字国債の発行が続いている

日本政府の借金の正体は、ほとんどが赤字国債と呼ばれるものです。税収等を上回る歳出を補うために発行されます。毎年、当然のように発行されていますが、実は、財政法第4条は「国の歳出は、公債又は借入金以外の歳入を以て、その財源としなければならない」と、国債発行を原則禁止しています。

但し書きに例外があり、いわゆる建設国債だけは発行することが許されています。つまり、社会資本、いわゆるインフラを整備するものについては借金しても良いということです。要は、借金とは、将来に返すものですが、建設国債は将来にインフラを残すことができるものなので、それは将来の人たちに払ってもらっても良いだろう、という考え方です。そこで、初めて赤字国債を発行した1965年、原則禁止されている赤字国債を1年限り認めるために特例公債法を制定し、それで対応しました。

ところが、1975年に再び発行されて以降は、1990から1993年を除き、毎年、赤字国債を発行するために特例法を繰り返しているのです。背景には、1970年代に入り、日本の高度経済成長に陰りが見え始め、そこに世界的なオイルショックも加わり、日本の高度経済成長期が終わったことがあります。

しかし、当時の人たちには、下支えをすれば高い経済成長が戻るという期待がありました。当時はケインズの経済学理論により、資金を投入する積極的な財政政策が主流だったこともあります。一時の借金も、経済が好転して歳入が増えれば、簡単に返済できるというわけです。そこで特例法を繰り返したのです。

ところが、経済成長は戻らず、赤字ばかりが増え続けることになった。それが現状です。実は、私たちは計量経済学という手法で実証分析を行っています。すると、1970年代前半から半ばぐらいが、構造変化の特異点として検出されます。つまり、1970年代は、日本という社会の大きな分岐点であり、それまでの様々な成功体験や有効だった手法が、通用しなくなり始める時期であったわけです。

では、どうすれば財政再建が可能なのか。もちろん、前回述べたようなハイパーインフレを待っているわけはなく、政府も財政健全化のために様々な手を打とうとしています。

次回は、財政健全化のために必要な政策について解説します。

#1 日本政府の借金って、どういう状態なの?
#2 日本政府の借金はなぜこんなに膨らんだの?
#3 PBの黒字化って、借金が減るということ?
#4 財政再建が難しいのはなぜ?
#5 財政再建を実現する方法って、あるの?

※記事の内容は、執筆者個人の考え、意見に基づくものであり、明治大学の公式見解を示すものではありません。

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