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#1 日本政府の借金って、どういう状態なの?

明治大学 商学部 教授 畑農 鋭矢

日本政府の借金は、GDP比でギリシャを上回る規模

今年6月に、政府は財政健全化計画を改訂し、基礎的財政収支(第3回で詳しく解説)の黒字化を従来の2020年度から2025年度に先送りしました。端的に言えば、借金返済のスケジュールを先送りにしたわけですが、2025年度の達成も楽観的な経済見通しに依存しており、見込みが甘いのではないかと批判されています。

では、現在、日本政府の借金はどれくらいあるのかというと、国債や借入金などによる国の借金は約1088兆円、地方債などによる地方自治体の借金は約192兆円で、国と地方を合せると、約1280兆円に達します。あまりに巨額でピンとこない人も多いと思いますが、2016年度の日本の国内総生産(GDP)は約538兆円なので、いま日本政府は、GDP比でおよそ240%、つまり、GDPの2.4倍ほどの借金を抱えていることになります。

これがどれほどすごいことかというと、2015年に、国が破綻するといわれ、ギリシャ危機を引き起こしたギリシャでも、GDP比200%を越えたことはありません(2016年時点で187%)。さらにいえば、ユーロ加盟の条件として、借金はGDPの60%であることが目安です。仮に、日本がユーロに加盟しようとしたら、門前払いされることになります。

こんな状態で日本政府が破綻しないのは、実は、日本の国債を買っている95%が、日銀をはじめとした日本国内の金融機関などだからです。ギリシャは国内で国債を買う力がなく、ドイツなどが多くを買っていました。日本は、いわば身内で借金しているようなもので、国際的には厳しく財政再建を求められるものの、国民が我慢できるうちは、破綻などと責められることはないわけです。

また、日銀はお札を刷ることができるのだから、刷って国債を買っていれば問題ないという意見もあります。しかし、お札を刷り続けているとどうなるかというと、インフレが起きます。日銀はそれを調整するために国債を売りたいわけですが、金融市場で国債を買ってくれる者がいつまでいるでしょうか。

国債が売れなくなれば、ハイパーインフレが起こるか、国債価格が暴落(国債金利が急上昇)するなどの事態となります。ハイパーインフレが起こると、国債の価値も急落しますので、借金はチャラの状態になりますが、そのとき、日本の社会は、国民の生活は、どうなっているでしょう。

国民の総資産は2000兆円あるといわれていますが、その価値も激減するかもしれません。それでも、日本の国民は我慢し続けなければいけないのでしょうか。

実は、日本はこの状態を一度体験しています。戦争末期から戦後にかけてです。終戦間際、積み上がった日本政府の債務は、まさに当時のGDPの200%以上に達しました。そして、戦後にものすごいインフレが起きたのです。私たちは、この戦後の混乱を、次の世代にまた体験させることになるのでしょうか。

次回は、日本政府の借金が膨らんだ経緯について解説します。

#1 日本政府の借金って、どういう状態なの?
#2 日本政府の借金はなぜこんなに膨らんだの?
#3 PBの黒字化って、借金が減るということ?
#4 財政再建が難しいのはなぜ?
#5 財政再建を実現する方法って、あるの?

※記事の内容は、執筆者個人の考え、意見に基づくものであり、明治大学の公式見解を示すものではありません。

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