2024.03.21
- 2017年11月17日
- リレーコラム
#5 相談に行くと専門家は何をしてくれるの?
岡安 孝弘 明治大学 文学部 教授ストレスの根本原因をつきとめ、元に戻れるように一緒に考える。
専門家は、まず相談者の話をじっくりと聞き、その人のストレスの原因はどこにあるのかを考え、それがわかれば、回復に向けて一緒に少しずつ問題を改善していきます。例えば、最もストレスに弱い人は、自分自身がストレスの原因になってしまっている人です。そのような人は、仕事で大きなミスなどをすると、自分は無能の役立たずだとか、周りのみんなもダメな奴だと思っているにちがいない、などとネガティブな思い込みをしてしまいます。これは「不合理な思い込み」と言います。ミスそのものよりも、それをきっかけとして不合理でネガティブな考えが頭の中に渦巻き、その考えが最大のストレスになるのです。
以前、私は復職支援のカウンセリングを行ったことがあります。うつ病で1年ほど休職していた会社員の男性は、苦手な英語を使わなければいけない部署に配置転換されたことにより毎日が苦痛で、「コントロール不可能」な状態になり、しかも、それがいつまで続くのかわからない「予測不可能」な状態でもあり、ネガティブな思い込みがどんどん膨らんでいってしまったという、うつ病になりやすい典型的なケースでした。私は、彼が仕事で成功したり、会社で役に立ったりしたことを一緒に検討し、彼の思い込みが不合理で根拠のないものだということを、ひとつひとつ一緒に考えていきました。彼は徐々に自信を取り戻し、復職が可能となりました。私は、当面は英語が必要な部署には配置しないように会社にお願いしました。カウンセリングだけでなく、ときには会社の嘱託医とも相談しながら、職場環境に関するアドバイスなども私たち専門家は行います。
次回は、良いストレスマネジメントについて紹介します。
#1 そもそもストレスってどういうこと?
#2 ストレスを感じない考え方ってある?
#3 最良のストレス対処法は?
#4 自分にストレス症状があるのか気づくには?
#5 相談に行くと専門家は何をしてくれるの?
#6 最良のストレスマネジメント法は?
※記事の内容は、執筆者個人の考え、意見に基づくものであり、明治大学の公式見解を示すものではありません。