明治大学の教授陣が社会のあらゆるテーマと向き合う、大学独自の情報発信サイト

#5 社会が変わらなければ育児も変わらない?

明治大学 商学部 教授 藤田 結子

まず、個人でできる対策から始めよう。

政府は少子化対策に力を入れるといっていますが、子育て支援に充てられている予算は、35ヵ国の先進国が加盟する経済協力開発機構(OECD)の中で、日本は一番低いのです。フランスやイギリスでは、保育施設や保育ママの制度が充実している上、手厚い支援金が出されるので、シングルマザーでも充分に育児ができます。北欧は税金が高いことで知られていますが、その分、社会保障制度が手厚く、育児に関しても、様々なサポートを無料で受けることができます。

それに対して日本は、少子化対策や女性の活躍支援がいわれているわりに、その内容も予算も薄いのが現状です。そのしわ寄せは、結局、働きながら育児をしなければならなかったり、専業主婦であっても、孤独に子育てをしなければならない母親たちが受けているのです。つまり、「ワンオペ育児」の状況です。昔から母親はそうやって育児をしてきた、という意見もありますが、日本が、母親のワンオペ育児を強いるような社会構造になったのは、高度経済成長期の頃からです。いままで、この状況があまり問題視されなかったのは、母親たちが声を上げなかった、声を上げる時間さえなかったからであり、たとえ声を上げても、それを大きく取上げるメディアもなかったからだと思います。

つまり、社会の構造や仕組みを変えていかなければ、この問題の根本的な解決にはならないと思います。でも、それには時間がかかります。その間も、大変な負担を担う母親たちがいます。個人がすぐにできる対策が、父親の育児参加なのです。男性も、働き方改革といわれながら遅々として進まず、長時間労働を強いられているのもわかります。でも、社会が変わる前に自分の子はどんどん大きくなってしまいます。何とか工夫して育児を分担してください。そうした小さな工夫の積み重ねが、社会の構造を変えていく力にもなると思います。

#1 「育児をする妻はイライラするもの?
#2 父親が育児をすると子どもの能力が高まる?
#3 育児のために定時で帰れるようになる?
#4 育児支援サービスに頼っても良い?
#5 社会が変わらなければ育児も変わらない?

※記事の内容は、執筆者個人の考え、意見に基づくものであり、明治大学の公式見解を示すものではありません。

  • Facebook
  • Twitter
  • Google+
  • Hatena

家庭・生活の関連記事

#4 育児支援サービスに頼っても良い?

2017.10.13

#4 育児支援サービスに頼っても良い?

  • 明治大学 商学部 教授
  • 藤田 結子
#3 育児のために定時で帰れるようになる?

2017.10.10

#3 育児のために定時で帰れるようになる?

  • 明治大学 商学部 教授
  • 藤田 結子
#2 父親が育児をすると子どもの能力が高まる?

2017.10.6

#2 父親が育児をすると子どもの能力が高まる?

  • 明治大学 商学部 教授
  • 藤田 結子
#1 育児をする妻はイライラするもの?

2017.10.3

#1 育児をする妻はイライラするもの?

  • 明治大学 商学部 教授
  • 藤田 結子
#6 コラーゲンはやっぱり身体に効く?

2017.7.28

#6 コラーゲンはやっぱり身体に効く?

  • 明治大学 商学部 教授
  • 浅賀宏昭

Meiji.netとは

新聞広告連動企画

新着記事

2018.11.07

IPOバブルは金融リテラシー欠如の表れ!?

2018.10.31

プログラミング教育が普及するほど、日本のSEは減っていく!?

2018.10.24

20世紀から21世紀の快適へ、スマートコミュニティが始まっている

2018.10.17

「マジョリティ」が創り出す「他者」としてのLGBT?

2018.10.10

集中豪雨を防ぐためには、法整備が必要!?

人気記事ランキング

1

2014.09.01

緊急提言、人口減少社会に歯止めをかける ―方策は少子化対策、社会…

2

2018.05.23

衰える結婚、止まらぬ無子化 ――このままでは日本の未来が失われる

3

2017.03.29

「留学生30万人計画」が抱えている将来的課題とは

4

2015.02.01

公共政策から社会問題を考える ―物事を相対化し、多角的に考えるこ…

5

2018.11.07

IPOバブルは金融リテラシー欠如の表れ!?

Meiji.net注目キーワード

【注目!】連載コラム