明治大学の教授陣が社会のあらゆるテーマと向き合う、大学独自の情報発信サイト

#4 育児支援サービスに頼っても良い?

藤田 結子 藤田 結子 明治大学 商学部 教授

育児は母親ひとりが担うという考え方のほうが、歴史上奇妙なこと。

いまは、育児は母親の責任であるような考え方が当たり前のようになっていますが、このような状況が一般的になったのは、高度経済成長期からです。それ以前は、自営業や農家が多く、家族や親戚みんなで育児をしていました。少し前までは会社勤めの都市生活者もご近所づきあいが頻繁で、いわば地域のコミュニティの協力がありました。さらに、それ以前の江戸時代では、むしろ父親の方が子育て熱心だったといわれます。今日の社会構造の変化で、育児は母親の責任のようになっていますが、それは決して普遍的な考え方ではないのです。そもそも、育児を母親ひとりでするということ自体が、とても無理な話です。

本質的には、日本の社会構造や仕組みが変わらなければ、最も身近にいる夫の育児分担も難しいのですから、お母さんは罪悪感などもたずに、様々な育児支援サービスを利用しましょう。最近は、地方自治体で様々な育児支援の取組みを行っています。まずは、地元の区役所や市役所に行き、相談してみましょう。相談に行く時間がないとか、面倒がっていてはダメです。行動しましょう。公共のサービスで不足なら、民間のサービスも利用するべきです。確かに、無認可保育園やベビーシッターは安くはありませんが、そうしたサービスを受けることで、フルタイムの仕事を続けることができるとすれば、あとで取り戻すことも可能です。最近では、「育児支援ローン」を取扱っている金融機関もあります。調べてみましょう。

また、ご近所コミュニティやママ友ネットワークも、決して廃れたわけではありません。育児の相談をし合ったり、子どもを見ててもらうなどのやり取りは、いまでもあります。週末に子連れで近所を散歩したり、ご近所の人と話をしたり、インターネットでママ友のコミュニティを探すなど、外部協力者を探す努力をしましょう。そのときは、夫も一緒に協力してください。自分たちの子育てがよりスムーズになる支援サービスや、外部協力者探しなのですから。

次回は、諸外国の事情について紹介します。

#1 「育児をする妻はイライラするもの?
#2 父親が育児をすると子どもの能力が高まる?
#3 育児のために定時で帰れるようになる?
#4 育児支援サービスに頼っても良い?
#5 社会が変わらなければ育児も変わらない?

※記事の内容は、執筆者個人の考え、意見に基づくものであり、明治大学の公式見解を示すものではありません。

リレーコラムの関連記事

好きな作家を見つけ、世界を広げる第一歩にしよう

2021.4.8

好きな作家を見つけ、世界を広げる第一歩にしよう

  • 明治大学 理工学部 准教授
  • 工藤 寛之
「面白い!」を原動力に、自分の道を究めよう

2021.4.1

「面白い!」を原動力に、自分の道を究めよう

  • 明治大学 農学部 准教授
  • 大里 修一
大きな目標に向かって、ストイックに打ち込もう

2021.3.25

大きな目標に向かって、ストイックに打ち込もう

  • 明治大学 理工学部 専任講師
  • 我田 元
#4 えん罪ってなぜ起こるの?

2021.3.19

#4 えん罪ってなぜ起こるの?

  • 明治大学 法学部 教授
  • 黒澤 睦
「虫の目」と「鳥の目」で物事を相対的に捉えよう

2021.3.18

「虫の目」と「鳥の目」で物事を相対的に捉えよう

  • 明治大学 政治経済学部 准教授
  • 飯嶋 曜子

新着記事

2021.04.07

地球の姿とその進化を知ると、人類の進むべき方向がよりよく見えてくる

2021.03.31

先端医療に貢献するものづくりは、汗の結晶!?

2021.03.24

農作物の被害を減らす最新技術は植物自体から学んだもの

2021.03.17

デジタル機器に欠かせない透明導電膜の作製技術を自然界に学ぶ

2021.03.10

ヨーロッパ型多拠点居住は私たちにとっても魅力的

人気記事ランキング

1

2020.12.16

農村には「なにか」ある

2

2020.02.12

「自己責任」を押しつける社会に多様性はあるのか

3

2020.04.01

歴史を紐解くと見えてくる、台湾の親日の複雑な思い

4

2019.03.27

高校で必修となる「地理」は、もう暗記教科ではない楽しさがある

5

2019.07.31

万葉集に由来する「令和」に込められた、時代にふさわしい願い

リレーコラム