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人民元は国際通貨といえるのか ―求められる中国金融システムの強化―

明治大学 政治経済学部 教授 勝 悦子

昨年(2015年)11月のIMF(国際通貨基金)理事会で、中国の通貨である人民元のSDR(特別引出権)構成通貨入りが決定したことは、日本でも大きく報道されました。いまや貿易量で世界一、名目GDPで世界第二位となった中国の人民元に、通貨市場まで席巻されるような危機感をもたれた方も多いと思います。しかし、SDRに入ったからといって国際通貨として機能するわけではなく、もっと注視すべき中国のマクロ金融動向があるといいます。

SDRに入ることの意味

勝 悦子 SDRとは、Special Drawing Rights(特別引出権)のことで、IMF(国際通貨基金)が1969年に創設した国際準備資産です。1960年代後半以降、国際通貨制度が不安定性を高めるなか、IMFは、経済学者トリフィンの提案に基づき、金とドルを補完する国際準備資産としてSDRを導入しました。当時は戦後のブレトンウッズ体制のもと固定相場制度でしたから、為替相場を安定させるため金とドルを補完する国際準備資産が必要とされたのです。しかし1973年に主要国は変動相場制に移行し、また国際資本市場も急激に成長したので、国際準備資産としてのSDRへの依存度は大きく低下しました。もちろん、世界金融危機に対応するため2009年にSDRが新規配分されたなど、今でも国際準備資産としての機能はありますが、SDR自体は流通する通貨ではありません。

 SDRはドル、ユーロ、円、ポンドの4通貨からなるバスケット通貨で、それぞれの通貨の価格変動に応じて価値が変動します。SDRレートの基準となる構成通貨はIMFが5年ごとに見直しますが、2016年からの見直しにあたって、既存の4通貨に加えて中国の人民元が採用されることが決定されたのです。ただし、SDRの構成通貨になったからといって、人民元がドルのような国際通貨になる、ということではありません。

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