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人民元は国際通貨といえるのか ―求められる中国金融システムの強化―

明治大学 政治経済学部 教授 勝 悦子

日本ももっと積極的に情報発信し指導力を発揮することが必要

 ところで、既存のルールが合わなければ、柔軟に対応し、新たなルールを大胆に構築しようというダイナミックな対応は、中国ならではといえるかもしれません。これは日本に最も欠けているといってもよいでしょう。戦後高度成長期から、70年代、80年代と、日本は高度な科学技術を基盤として経済成長を続け、国際的な信用を積み上げてきました。しかし、世界で指導力を発揮するというケースはあまり見受けられません。

 これに対して中国は、国際準備資産SDRへの人民元組入れを推進し、厳しい融資条件がニーズに合わないと指摘された、日本主導のアジア開発銀行(ADB)に対抗する形でAIIBを発足させました。また国際機関の人事においても世界銀行のチーフエコノミスト、IMFの副専務理事を送り出すなど力を発揮しています。こうした交渉力に長けている国民性は、国際的議論の際に非常に重要となります。多国間の議論で主導権をとっていくことは、一国の国益を考えると非常に重要です。そしてこうした国際的な議論は国際言語である英語で行われるのです。

 その意味で、現在私が携わっている大学の国際化、グローバル人材育成も、日本の長期的展望においては非常に重要になると思います。英語で堂々と自分の意見をいうためには、現状分析、課題抽出、課題解決を行わなければなりません。こうした力を若い頃から鍛えていくことは、日本全体にとっても非常に重要となります。ビジネスも一段とグローバル化するなか、異文化理解も重要となります。

 世界経済において第二位の経済力を持つようになった中国が人民元の国際化を進めるのであれば、金融システムを強固にしなければなりません。資本規制を緩和したが故に中国は現在資本流出に悩まされており、通貨金融面の責務が全うされなければ、世界にとって多大なリスクとなります。日本としては、最大の貿易相手国である中国等の動向を注視しつつ、G7やG20など国際的なカバナンスを司る会議の場で、世界の安定のために議論をしていくことが益々重要になるでしょう。

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※記事の内容は、執筆者個人の考え、意見に基づくものであり、明治大学の公式見解を示すものではありません。

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