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原発本格再稼働の前に正しい議論を

明治大学 法学部 准教授 勝田 忠広

2011年の東日本大震災にともなう福島第一原子力発電所の事故は、私たちに原子力エネルギーについてより深く考えさせる契機となりました。しかし、この4年半の間、私たちは原子力発電について本当に正しい議論ができたのかは疑問です。なぜ、正しい議論ができないのか。考える必要があります。

福島の原発事故前と変わらない状況になりつつある

勝田 忠広 福島第一原子力発電所の事故は、私たちに様々なことを考えさせました。事故直後は、閉鎖的な原子力推進者のもとで、人間の科学力による原子力発電所の安全性は完全だと主張されていたにも関わらず、自然の猛威の前になすすべがなかったことが明らかになり、原発廃止論が声高に叫ばれました。確かに、事故の危険性は原発がもつ危うさの一面です。しかし、そのことが感情的に強調されるあまり、「安全なら大丈夫」と思考が停止したことは否めません。目先のことに囚われた昂ぶった感情は、その根底にある本質的な問題に気づきにくくなり、気がつけば何も変わっていない、という状況を引き起こします。事実、事故から4年半が経ち、運転を停止していた各地の原発立地の地元では、反対運動もあるものの、経済的期待から再稼働を歓迎する声があります。再稼働を期待する人たちには、原発の危険性を認識している人もいるようですが、それでも諦めて黙っている状況があります。福島の事故前と比べてむしろ状況はひどくなったかもしれません。なぜ、そうなったのか。それは、この4年半の間、福島事故の技術的な近因にのみとらわれ、社会的・経済的な遠因を考えずに思考停止のまま正しい議論を行わなかったからかもしれません。

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