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いま、「終活」について考えるとき ―団塊世代から団塊ジュニア世代へと移行する問題―

明治大学 法学部 准教授 小西 知世

自分が望む最期を迎えるために、勉強する時代へ

小西知世教授 現在、2025年問題がクローズアップされ、医療と福祉に関わる制度が組み換えられてきている。2025年には、団塊の世代の方々が高齢になって、4人に1人が75歳以上という社会が現実のものとなるためである。もっとも、今の70代は元気な方も多い。本当の意味で社会問題化するのは、団塊の世代の方々が80歳以上となる2030年以降の「大量死の時代」を迎えるときである。どのようにすれば幸せな死を迎えられるか、迎えさせられるかを多くの人が真剣に考えなくてはならない時代がやってくると私は考えている。
団塊の世代の方々が若かった頃は、医療技術がまだそれほど発展していなかったこともあり、80歳を超えて長生きする方は少なかった。ところが今では、80歳は当たり前となり、また終末期になっても、ものが食べられなくなると胃に直接穴をあけて流動食を送り込んだり、呼吸が困難になると人工呼吸器を付けたりすることで、なかなか死ねなくなってきている。医療専門職の方々は、命を救うことが仕事であるため、病気の方に対してはもちろん、お年を召して消え行く命であっても1分1秒でも長く伸ばしたいと考える。しかし、それは時として本人が望むことではなかったりもする。自分が望む最期を迎えるには、どういった意思を示しておけば良いのか、示していないとどういうことになるのか、様々なことを勉強して準備しなくてはならない時代が来ている。ところが、そのための「終活」は話題にはなっても、実際にはまだあまり進んではいない。

医療をめぐる問題を、法律学を用いて考えていく

 私の専門は医事法であるが、刑法や民法のように、医事法という名前の法律があるわけではない。医事法とは、例えば臓器移植、安楽死、尊厳死、救急医療、在宅医療といった医療に関わる問題を、民法や刑法、医療法、医師法や保健師助産師看護師法、健康保険法など様々な法律を使って考えていくという法律学の一つのジャンルである。そして、医療に関わる問題で悩んでいる当事者たちに考えるためのヒントを与えたり、時には解決のために必要な指針を示したりもする。
また、医事法学は、法律学の中でも人の命や生老病死を直接的に扱うことが多い領域であるところが特徴的であると言える。それは人が生まれてから死ぬまではもちろんのこと、生殖補助医療の問題や脳死後の臓器移植のように生まれる前から死んだ後までもが対象となる。私自身は、医療をめぐる問題の中でも高齢化に伴う問題、たとえば在宅医療や終末期医療などを、主な研究領域としている。

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