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建物の水からカーボンニュートラルを考える

光永 威彦 光永 威彦 明治大学 理工学部 専任講師

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地球温暖化を背景に、2050年カーボンニュートラル化へむけて世界中の国々がつき進んでいます。建物を長寿命化させることは、それに寄与します。人生100年時代となり、同じ住居にいながらも暮らし方は変化し、間取りをリフォームしたい。そのとき、制限となるのが、水まわり設備といいます。それはなぜなのか、そして、どのような解決策があるのでしょう。

水まわりと排水設備

光永 威彦 住居であれ、働く場であれ、私たちの生活の場には、排便をしたり手を洗ったりするために、必ず水まわり設備があります。それは建物内で衛生的な環境を維持するためには必要不可欠なものです。

 水まわり設備の基本的な構成要素は、建築物に水を配水する給水設備、水を使用する衛生器具設備、使われた水を構外へ排出する排水設備です。そのほかにも、お湯を供給する給湯設備、雨水などをろ過して建築物内で利用可能な水質とする設備など、様々にあります。

 こうした設備を総称して給排水衛生設備といいます。

 これらの設備の多くは、省エネルギーや節水・節湯、機能性の向上などを目的として、近年、めざましく発展しました。

 ところが、排水設備は、実は、200年くらい前から基本的に変わっていないのです。それは、建物内に設置された配管に勾配をつけて、重力で汚水を排出する仕組みです。

 つまり、キッチンやお風呂、洗面台、トイレなどで使われた水は、構外に向かって少しずつ下がっていくように設置された配管を通って排水されているのです。

 重力による自然流下とはちょっと原始的な仕組みに思われるかもしれませんが、電気などのエネルギーを使うことなく、汚物や水を搬送できるという意味では、究極のエコシステムであり、非常に良くできた仕組みといえます。

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