明治大学の教授陣が社会のあらゆるテーマと向き合う、大学独自の情報発信サイト

子どもに会うための共同親権制度では本末転倒

明治大学 専門職大学院 法務研究科 教授 平田 厚

離婚後の親権を共同親権にする制度の検討が進行しているといいます。欧米などでは、共同親権が主流になりつつありますが、日本が共同親権を目指す考え方と、欧米の考え方では異なっているという指摘があります。そのため、日本は、制度をつくる前にもっとやるべきことがあるというのです。

親権とは、親が子どもに対して責任を果たすこと

平田 厚 日本では、夫婦が結婚している間は、父母の共同親権制度となっているのですが、夫婦が離婚すると、どちらか一方の親が子どもの親権をもつ単独親権制度になっています。その趣旨は、子どもの養育に関して、別れた夫と妻で判断が割れた場合、一緒に暮らして監護している方に判断を委ねるということです。

 子どもにとっては、一緒に暮らしている親も、離れている親も同じ親なので、その2人が自分のことで対立し続けることは非常にストレスになります。それは、子どもの成長にとって良いことではないからです。

 つまり、親権とは、子どもの養育に関してきちんと責任をもつことであり、子どもを不安にさせたり、混乱させたりすることがないように、一緒に暮らす親にその責任を委ねるというのが、単独親権制度なのです。

 もともと、そのような親権制度は、フランス民法から取れ入れた制度です。ところが近年では、そのフランスをはじめ、欧米諸国では、離婚後も共同親権制度を取り入れたり、取り入れる議論を行ったりしています。

 それは、子どもは親の付属物ではなく、独立した人格であるのだから、それを監護する内容については、両親が離婚したからといって、どちらかの親が恣意的に決めるのではなく、離婚後もふたりが共同責任をとっていくものだ、という考え方が高まっていったからです。

 実は、日本でも、離婚する夫婦が子どもに対する責任を感じ、制度上、単独親権にはなるものの、子どもの養育について事前にしっかり話し合い、共同で責任をとっていこうというケースは多くあります。そのような形で離婚する夫婦にとっては、親権制度は、ある意味、関係ないのです。

社会・ライフの関連記事

公文書の隠蔽や改ざん、忖度。防ぐのは我々のシビリティ

2020.2.26

公文書の隠蔽や改ざん、忖度。防ぐのは我々のシビリティ

  • 明治大学 専門職大学院 ガバナンス研究科 教授
  • 西出 順郎
「自己責任」を押しつける社会に多様性はあるのか

2020.2.12

「自己責任」を押しつける社会に多様性はあるのか

  • 明治大学 情報コミュニケーション学部 教授
  • 宮本 真也
運動は身体だけでなく頭の健康寿命ものばす

2020.2.5

運動は身体だけでなく頭の健康寿命ものばす

  • 明治大学 農学部 准教授
  • 加納 明彦
美術品の価格が分かると、国の文化度が上がる!?

2020.1.29

美術品の価格が分かると、国の文化度が上がる!?

  • 明治大学 専門職大学院 会計専門職研究科 教授
  • 池上 健
自殺未遂者の再度の自殺を防ぐ有効な支援プログラムがある

2020.1.15

自殺未遂者の再度の自殺を防ぐ有効な支援プログラムがある

  • 明治大学 文学部 専任講師
  • 川島 義高

Meiji.netとは

Meiji.net英語版

新聞広告連動企画

新着記事

2020.02.26

公文書の隠蔽や改ざん、忖度。防ぐのは我々のシビリティ

2020.02.19

人型ロボット、ヒューマノイドが私たちを救う!!

2020.02.12

「自己責任」を押しつける社会に多様性はあるのか

2020.02.05

運動は身体だけでなく頭の健康寿命ものばす

2020.01.29

美術品の価格が分かると、国の文化度が上がる!?

人気記事ランキング

1

2019.11.20

ゲノム編集で不妊症の原因を解き明かす

2

2019.10.09

増税による負担増ばかりではなく、受益増についてみんなで考えよう

3

2019.04.24

子どもに会うための共同親権制度では本末転倒

4

2020.02.19

人型ロボット、ヒューマノイドが私たちを救う!!

5

2019.07.31

万葉集に由来する「令和」に込められた、時代にふさわしい願い

Meiji.net注目キーワード

【注目!】連載コラム