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人口減社会における地域社会のあり方 ―個を大切にするとともに、輪をつくろう―

碓井 光明 碓井 光明 明治大学 専門職大学院 法務研究科 教授(2017年3月退任)

“姉妹都市”や”二重住民”によって、都市と農山村の関係を密にする

碓井光明教授 人口減少問題は、私が諮問を受けている地方制度調査会でも、重要な問題の一つとして考えさせられる立場にある。そこで思うのは、人口減少問題の解決に特効薬はないが、都市と農山村との連携に一つの可能性を見いだすことができるのではないかということだ。
例えば、都市と農山村の自治体の”姉妹都市”のような関係を築き、住民も日常的に交流するようになれば、高齢になったら自然の中でのんびり暮らそう、自分の子どもたちは自然の中でノビノビと育てよう、といったことが起こりうるようになるだろう。すでに災害対策などで協定を結んでいる自治体はある。”姉妹都市”のような関係つくることはコストのかかることではないが、どのようにして交流を実現するかについては知恵を絞る必要がある。
さらに、二重国籍のように、東京都の住民であると同時に島根県の住民であるといった”二重住民”を認めるケースもあって良いのではないかと考える。選挙権や税金などの問題もあるが、夏の間だけ別荘で過ごすというように、片手間に肩身の狭い状態で農山村に暮らすのではなく、堂々と両方で暮らせるのが良いだろう。昔、山梨県高根町では、条例をつくって別荘の所有者から高い水道料金を徴収していたが、最高裁判所で無効判決になったことがある。高根町では、別荘を利用する人が夏の間に使う水のために、水道の容量を確保しなくてはならないという不都合が生じていたため、特別な条例をつくらざるを得なかったからだ。そうではなく、一人の人間が、都市部と農山村部で同じ意識を持って暮らせるようになることが大事であり、これによって、都市部での暮らしの輪と、農山村部での暮らしの輪をもつことが可能になると考える。
“姉妹都市”や”二重住民”によって住民の往来が始まり、カップルが増えることで、人口減少の解決につながることが期待されるが、これは長い目で見る必要があると思う。暮らしの輪をもつということは、コミュニティに受け入れられるということであり、特に農山村部では、役場だけでなく地域の人がコミュニティを運営している部分も多いため、それなりの役割を負担しないと仲間に入れてもらえない面がある。農山村の生活に憧れる人も増えているが、実際には不安材料が多いため、行く側、受け入れる側の両者ともに、足並みを揃えるためのウォーミングアップの時間が必要だと思う。

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