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現代の経済学では説明できない!? 縄文時代の持続可能性社会

明治大学 文学部 教授 阿部 芳郎

最近、ふたたび考古学がブームだといいます。古代の日本に夢やロマンを馳せることもあれば、いまの日本が未来に進むためのヒントを、古代の社会に見ることもできるのです。考古学の分野では私学の中で最も古い伝統をもつ本学でも、学内の様々な取組みやプロジェクトが進行しています。

1000年以上も継続していた縄文のムラ

阿部 芳郎 縄文時代とは、約1万5000年前から約2300年前にかけての時代で、狩猟採集社会といわれています。そのため、縄文人はいつも食べ物を求め、不安定な生活を営んでいたイメージをもたれますが、実は、最近の研究で、同じ遺跡に、1000年から1400年もの間、人が住み続けたことがわかってきました。それに比べて、縄文時代の後の、水田耕作を特徴とする弥生時代の遺跡は、せいぜい数百年しか続いていない。なぜ、狩猟採集社会の縄文人の方が、同じ場所に長期間居住し続けることができたのか。この興味深いテーマを関連理化学の研究を導入して多視点的に解明する、これが私たち研究チームの取組んでいる課題です。

 まず、このテーマを解く手がかりは、縄文人たちの食料にありました。最近の研究では、彼らが食べて捨てたゴミである貝殻や動物の骨を調べるだけでなく、人骨の中に含まれているコラーゲンを取り出して同位体分析をおこなうことで動物や魚、木の実や穀物などのタンパク質を、どれくらいの割合で食べていたのかが推測できるようになりました。その結果、彼らは動物、魚、貝、ドングリなどをバランス良く食べていて、その中でもドングリなど植物が主食だったことがわかってきました。しかも、これに加え土器の内側についているオコゲも分析できるようになり、その結果、ドングリは殻を割り、土器で煮てアクを抜き、団子のような塊にして食べたり貯蔵していたりしていたこともわかってきました。多様な文様や形の縄文土器はそれらの加工具だったのです。実のなる季節に採集して貯蔵し、計画的に食べていた。これなら、食料を求めて移動する必要はありません。つまり、狩猟よりも、森の資源に強く依存し、それを加工や貯蔵する食文化を作りあげたことが、長期的な社会を形成するひとつの基盤になっていたことがわかってきたのです。さらに、これまでの縄文時代の研究では、例えば、青森県の三内丸山遺跡のような大きな遺跡には、たくさんの人が住んだのだという議論が中心でしたが、私たちのチームの発掘では、ひとつの集落の住居は同時でも5軒から、多くても10軒程度であることがわかってきました。人口でいえば30人から50人くらいです。それ以上の規模にはならないのは、むしろ主食であるドングリの森や周辺資源が枯渇しないように、集落の規模を適正に維持していたと考えられるのです。

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