縄文時代の社会を解き明かすためには学際的な研究が必要
駿河台キャンパスアカデミーコモン地階にある大学博物館 縄文人のこうした相互関係は、私たちが生きる社会の基盤にある貨幣経済の根幹となる等価交換のような仕組みでは説明できません。例えば、中里貝塚の周りから、その貝殻の量に匹敵する同等の価値のある交換物は見つかりません。また、翡翠やアスファルトなどが何百キロも離れた地域の遺跡から見つかることも決して珍しくはないのです。縄文時代は、特定の産地の物資が、真綿に水が染みこむように、流通しているのです。こうした相互関係を経済学的に説明するのは非常に難しいと思います。信頼や親ぼくが社会を支える仕組みであったのかもしれません。それは貨幣経済に内在する今日的な課題を抱えて生きる私たち現代人にとって、決して原始的で野蛮な制度であったと評価することもできないでしょう。今後も、人類と環境の関係を考え、その成果を社会に還元していくためには、異分野の視点や手法によって、新たな発見ができたように、学際的な研究が不可欠です。そのためには本学の理工学部や、他大学との連携など、様々な分野の研究組織が連携した学際的な取組みによる研究プロジェクトを、さらに進めていくことが重要になると考えています。
明治大学博物館
本学の考古学研究の成果は、本学のアカデミーコモンにある「明治大学博物館」にて展示されています。また、シンポジウムや特別展にて研究成果が発表されます。一般の方もご来館いただけます。詳しくはホームページをご覧ください。
https://www.meiji.ac.jp/museum/
※記事の内容は、執筆者個人の考え、意見に基づくものであり、明治大学の公式見解を示すものではありません。