
2023.02.03
明治大学の教授陣が社会のあらゆるテーマと向き合う、大学独自の情報発信サイト
コンピュータが、インターネットによって外部と接続されたことで利便性は飛躍的に高まったが、それと比例してセキュリティの脅威も高まった。中でも、大きな問題と指摘されるのが個人情報の漏洩であり、インターネット上には、個人のプライバシーが第三者に容易に侵されてしまう危惧が常に存在している。
こうした事態の中、個人情報の取扱いに関心が高まり、規制が必要とされ、法制度の整備が行われてきた。それが2005年に施行された「個人情報の保護に関する法律(以下、個人情報保護法)」である。個人情報とは、氏名、住所、性別、生年月日等の記述によって、「特定の個人を識別できるもの」を指す。個人情報保護法では、5000件以上の個人情報を所持し事業に用いる事業者は個人情報取扱事業者とされ、個人情報取扱事業者が主務大臣への報告やそれに伴う改選措置に従わないなど、適切な対処を行わなかった場合は、事業者に対して刑事罰が科せられる。つまり、個人情報保護法は、個人の権利・利益を保護することを目的としたものだ。そしてここへ来て、個人情報保護法改正の検討が進められており、私はそのワーキンググループ委員の一人として参加している。では、何を目指した改正なのか。