ICTに対する規制が強化される動き
例えば、近年、ICT技術の活用を法規制する動きが世界では増えてきています。2018年に施行されたEUのGDPR(一般データ保護規則)などはその典型です。
その内容は、個人データに関して、その収集や処理をはじめ、EU域外への持ち出しまで、幅広く規制しています。つまり、個人データを取り扱う企業に対して、厳格な情報管理を求めているのです。違反すれば罰則規定もあります。
EU域内で活動する日本企業にとっては、日本と異なる法規制に注意が必要と言えます。
また、中国では、2017年に国家情報法が施行されています。これは、企業は持っているデータを中国政府から渡すように要請されれば、それに応えなければいけないという内容を含む法律です。つまり、個人データを含め、あらゆるデータは国家が統制するものという考え方なのです。
そもそも、中国では、インターネット上にも中国の主権があると明言しています。領土や領海と同じように、インターネットにも国家の統制がおよぶと考えているのです。
インターネットが商用利用され始めた当初は、インターネットには、自由でオープンで、ボーダレスであるという概念がありました。実際、インターネットによってグローバル化は大きく進展しました。
一方、中国の考え方はそれと真逆といって良いほど独特です。しかし、EUのGDPRがそうであるように、個人情報の保護管理という観点から、西欧諸国でも規制の動きが強まっています。
アプローチは真逆なのですが、インターネットに対して、自由、オープン、ボーダレスから、規制、管理へと世界は動き始めていることになります。
社会のデジタル化が遅れていると言われる日本も、LINE問題などをあらためて考えれば、なんらかの規制や管理が必要であることを考えなくてはいけないのです。
※記事の内容は、執筆者個人の考え、意見に基づくものであり、明治大学の公式見解を示すものではありません。