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デジタル機器に欠かせない透明導電膜の作製技術を自然界に学ぶ

我田 元 我田 元 明治大学 理工学部 専任講師

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現代の私たちにとってなくてはならないスマートフォンやPCをはじめ、様々なデジタル機器のモニターには透明導電膜が使われています。この透明導電膜を作るプロセスには非常に大きなエネルギーが必要なのですが、それを省力化する新たな技術の開発が本学の研究室で行われています。

透明導電膜とは?

我田 元 透明導電膜は、一般にはあまり知られていない材料だと思いますが、例えば、私たちの身の回りの機器の液晶モニターなどにはなくてはならないものです。

 それは、可視光を透過し、電気も流す物質から作られています。

 例えば、電気を流す物質といえば、金属をイメージする人が多いと思います。金属には、いわば、電子を動かす担い手がたくさんいるので、電気がよく流れるのです。しかし、その電子が可視光と相互作用を起こすので、可視光が透過しにくくなります。そのため、人間の目には透明ではなくなるのです。

 一方、透明な物質といえば、ガラスを挙げることができます。ガラスは可視光を透過させるので透明に見えますが、通常では電子を動かす担い手がほとんどいないため、電気が流れず、絶縁体に分類されます。

 ところが、電気抵抗の値が金属と絶縁体の中間である半導体の中には、可視光程度のエネルギーとは相互作用を起こさない物質があります。つまり、金属ほどではないが電気を通しつつ、可視光を透過させる物質です。

 このような物質から透明導電膜を人工的に作り出し、様々な工業製品に応用しているのです。

 例えば、液晶モニターは、液晶を透明導電膜で挟んでパネル状にした構造となっています。

 透明導電膜によって液晶に電圧をかけ、液晶分子の配列を変化させ、光の透過を制御させる仕組みとなっています。つまり、液晶に電圧をかけるための材料が透明でなければ、モニターとして機能しないわけです。

 こうした透明導電膜をはじめ高性能な薄膜は、主に、気相法と言われる手法によって作製されています。非常に高度な手法なのですが、その作製プロセスには問題もあります。

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