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人工知能を作ることから始まる現代のものづくり

明治大学 理工学部 准教授 金子 弘昌

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最近、化学製品を作ったり、新しい材料を生み出すことに関わる「データ化学工学」が注目されています。まだ、一般にはあまり知られていない分野ですが、実は、効率的なものづくりをサポートする非常に重要な分野です。その研究室が本学にもあり、様々な企業との共同研究が数多く進められています。

実験をサポートする人工知能を作る

金子 弘昌 「データ」も、「化学」も、「工学」も、一般に知られている言葉だと思います。データは、様々な情報の数値化であり、化学は、簡単に言えば、複数の物質が反応することによって、元の物質と異なる形質の物質が生まれることの研究であり、工学とは、ものを生産する方法やシステムを研究することです。

 つまり、「データ化学工学」とは、化学反応によるものづくりをデータの応用によってサポートする分野ということです。

 では、具体的に、データ化学工学はなにをするのかと言うと、例えば、aとbを混ぜ合わせて、新しい物質をつくろうとするとき、aの候補の物質が100種類あり、bの候補も100種類あるとすると、1万通りの混ぜ方があることになります。これをすべて実験で確認しようとすると、大変な労力が必要になります。

 さらに、混ぜる物質を増やしてみたりとか、あるいは、混ぜるときの温度を10℃から100℃まで10段階で変えてみようとしたら、その組み合わせは天文学的な数になってしまいます。人海戦術で人がやろうとしても、それはできるものではありません。

 もちろん、研究者は、過去に行われた様々な実験結果や論文を調べ、活かすことで、効率的な実験を行おうとします。

 しかし、そうした知識や知見も、すべての物質に対して揃っているわけではありません。すると、やはり、研究者はそうした知識や知見から仮説を立て、それを実験で確認していくことになるのです。

 そこで、より正確に実験結果を予測することができる人工知能を作ることが考えられたのです。

 すなわち、人が持っている様々な知識や知見をデータ化し、それを学習することで、新たな実験結果を予測することができる人工知能です。そのような人工知能を作ることを目指しているのが、データ化学工学なのです。

 すると、人は、人工知能に1万通りの実験結果を予測させ、その結果の良かったいくつかを、実際に実験し、確認すれば良いことになります。

 当然、実験の数を大幅に減らすことができ、それは、実験期間の観点、実験にかかるコストの観点、実験にかかるエネルギーやCO2の排出など環境負荷の観点、動物実験が必要な場合は動物愛護の観点などからも、非常に有益であることになるわけです。

 しかし、人工知能の予測と、実際の実験結果の誤差が大きくては使い物になりません。その誤差をできるだけ小さくするためには、たくさんの正確なデータが必要です。

 すなわち、必要な化学の知識や情報を、人工知能が学習できるようなデータに加工しなければなりません。つまり、データ化学工学にたずさわる者には、データを取り扱う知識とともに、化学の知識や知見が必要になるのです。

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