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最近、仮想通貨が話題になっています。その背景にはフィンテックと呼ばれる、インターネット技術と金融を融合させた新たな産業分野への期待があったのですが、注目されているのは投機の対象としての側面ばかりです。それでは、金融業界の変革に繋がるフィンテックの可能性を潰しかねません。

現代社会で貨幣が担っている役割

金子 邦彦 仮想通貨には、文字通り通貨としての機能、つまり貨幣としての役割と、投機の側面があります。現在は、それが一緒くたにされ、場合によっては、投機の部分だけで見られ、その負の部分や問題点をもって仮想通貨を論じている傾向があります。仮想通貨には、従来の金融業界を大きく変えるフィンテックとしての期待があるにもかかわらず、これでは単なる投機の対象、金融資産で終わってしまいかねません。実は、貨幣とは、人類が生み出した偉大な発明のひとつです。ところが、近年では、貨幣の存在はあって当たり前になり、それがどのような役割を果しているのかを考えることが薄れています。あらためて、貨幣の特性や機能を見直し、そこから仮想通貨の問題を論じていくことが必要だと考えます。

 では、現代社会において、貨幣はどんな役割を担っているのかというと、大きく2つあります。ひとつは、高度に発達した貨幣的交換経済社会を構築していることです。一般には「価格設定」といわれますが、私たちの社会では、あらゆる商品の価値を貨幣が評価し、その評価にしたがって、人は欲する物を貨幣と交換しています。そんなことは当たり前のことと思われるかもしれませんが、例えば、物々交換経済社会では、相手と自分の所有する物を見せ合うという「行為の必要」と互いが欲する物がたまたま一致する「欲求の二重の偶然的一致」がなされ、さらに交換比率に対する情報と合意が成立することによって、初めて物の交換が成り立ちます。しかし、貨幣を媒介とし、交換比率の情報があらかじめわかることで、物々交換経済の2つの致命的欠点が解消されたわけです。これにより、生産、交換、分配、消費の経済過程は飛躍的に効率化され、円滑化されることで、社会全体が大きく成長し、拡大することに繋がったのです。

 もうひとつが、情報化社会において、情報の獲得を容易にすることです。現代社会では、情報は、不確実性を減らす最も重要な無形の経済財です。ところが、一方で情報過剰社会ともいわれ、玉石混淆の情報が散乱し、優れた情報の識別が困難なのが現代です。例えば、物の売買においては、本来は、貨幣を保有する買い手優位でしたが、物の情報を100%保有する売り手に対して、買い手に情報が不足していると、本来の姿と逆の形、「逆選択」が生じます。その結果、詐欺行為も容易になってしまうわけです。そのとき、買い手は必要な情報を獲得するための引き換えとして、貨幣を使うことができます。つまり、貨幣は、情報の代替財となることで、経済行為における情報ギャップを軽減する重要な役割を担うのです。

 このように、現代社会において、価格設定によって円滑な経済循環過程と、正しい情報を速やかに伝達するという役割を担っているのが、貨幣なのです。では、仮想通貨が、このような役割をもった貨幣になり得るのか考えてみましょう。

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