明治大学の教授陣が社会のあらゆるテーマと向き合う、大学独自の情報発信サイト

腸内フローラを活用すれば、人はもっと強く美しくなる

明治大学 農学部 准教授 浅沼 成人

がん治療や老化防止に役立つ可能性もある

浅沼 成人  最近は、善玉菌はがんの治療や老化防止に役立つといわれることもありますが、いまのところ、それは実証されていません。しかし、理論的にはあり得ます。善玉菌を増やせば悪玉菌が減り、生成される腐敗物質も減ることになります。さらに、善玉菌は腸の運動を良くするので、腐敗物質が腸に滞在する時間を短くすることもできます。すると、細胞が汚染される機会が減り、がん化する確率が下がります。また、細胞の遺伝子レベルに異常が起きた場合も、それが腫瘍になるまでには何段階もの免疫システムをくぐり抜けていくのですが、先に説明したような免疫に関係する善玉菌が多く、アポトーシスのシグナルとなる物質が多く作られれば、そうした異常な細胞を死なせる確率は高くなります。老化に関しても同じように、腐敗物質が少なければ老化促進を防ぐことができるし、免疫力が高まれば、高齢になっても病気に罹りにくくなるし、病気になっても抵抗力が高ければ回復することができます。こうした研究は、いまマウスなどで行われています。人に応用できる時期も意外と早いかもしれません。

 いま、腸内細菌の研究者の間で一番問題になっているのは、加齢とともに、いわゆる善玉菌が減っていくことです。すると、腸内細菌全体の構成のバランスが変わってしまうのです。善玉菌も悪玉菌も、エサとなるものはほとんど同じです。なぜ、善玉菌の減り方だけが早いのか、いまのところわかっていません。防ぐためには、意識して善玉菌を含む食べ物を多く採ることです。ブルガリア地方の人が長寿である理由として、ヨーグルトを大量に食べていることが注目されたのも、こうしたメカニズムがあるからです。

IT・科学の関連記事

生物化学は、「より良く生きるための医療」に貢献する

2019.8.7

生物化学は、「より良く生きるための医療」に貢献する

  • 明治大学 理工学部 准教授
  • 本田 みちよ
使い心地の良い道具は、道具ではなくなる

2019.7.24

使い心地の良い道具は、道具ではなくなる

  • 明治大学 総合数理学部 准教授
  • 渡邊 恵太
AIのタコツボに入るか、AIに指針を示すかは、使うあなた次第

2019.5.29

AIのタコツボに入るか、AIに指針を示すかは、使うあなた次第

  • 明治大学 理工学部 准教授
  • 横山 大作
AIがビジネスのインフラになる

2019.4.10

AIがビジネスのインフラになる

  • 明治大学 総合数理学部 准教授
  • 櫻井 義尚
「フェイクニュース」は「嘘ニュース」のことではない

2019.2.20

「フェイクニュース」は「嘘ニュース」のことではない

  • 明治大学 情報コミュニケーション学部 教授
  • 大黒 岳彦

Meiji.netとは

Meiji.net英語版

新聞広告連動企画

新着記事

2019.10.16

増える、ひとり暮らしの高齢者が楽しい生活をおくるには

2019.10.09

増税による負担増ばかりではなく、受益増についてみんなで考えよう

2019.10.02

知的財産を侵害する模倣品によって被害を受けるのは?

2019.09.25

自治体の予算案に見える、「いま」に応え、「未来」を創る姿勢

2019.09.18

世界遺産に登録された日本の古墳には、世界に誇れる特異性がある

人気記事ランキング

1

2019.10.16

増える、ひとり暮らしの高齢者が楽しい生活をおくるには

2

2018.05.23

衰える結婚、止まらぬ無子化 ――このままでは日本の未来が失われる

3

2017.10.18

ゲーテッド・コミュニティの実態に迫り、その“可能性”を探る

4

2019.10.09

増税による負担増ばかりではなく、受益増についてみんなで考えよう

5

2019.10.01

#1 少子高齢化による人口減少が問題なのはなぜ?

Meiji.net注目キーワード

【注目!】連載コラム