明治大学の教授陣が社会のあらゆるテーマと向き合う、大学独自の情報発信サイト

「年老いていく」日本に対して、アフリカは世界で「一番若い大陸」

溝辺 泰雄 溝辺 泰雄 明治大学 国際日本学部 教授

最大の課題は格差是正

溝辺 泰雄  しかし、もちろん、課題もあります。ひとつは、広がる格差です。都市部で暮らす人たちは収入を増やし、高等教育を受ける機会も広がっていますが、地方では旧態依然であることが多いのです。サハラ以南アフリカ全体で見ると、1日1.25ドル以下で暮らす最貧層は、まだ全人口の4割を越えています。5~10ドルのマラリアの薬を買えない人が、まだまだたくさんいるのです。国際社会の協力と現地の人々の努力によって、初等教育の就学率は90%を越えましたが、経済的理由などからドロップアウトしてしまう子どもたちも大勢います。また、都市部では大学進学率が上がっていますが、地方を含めた全体では、まだ10%ほどです。実は、アフリカは学歴社会で、高学歴でなければ良い職に就くことができず、結果として、貧困の連鎖から抜け出せないことになります。富の配分をいかに平等にし、格差を是正していくかは、政治の大きな課題です。

 また、都市化は進んでいますが、インフラ整備がそれに追いつかず、自家発電を余儀なくされたり、ゴミ問題や都市にスラム街ができたりもしています。近年、そうした都市のインフラ整備や、鉄道、道路の整備、港湾や生産施設のなどの開発の支援に力を入れているのが中国です。サハラ以南アフリカに対する中国の投資は2000年以降、急激に伸び、アフリカ諸国の経済発展や教育や医療部門の改善に果たした役割は高く評価されるべきでしょう。しかし、一方で、大規模な経済協力を通して、中国はアフリカを自国の影響下に置こうとしているのではないかという批判もあります。また、資金面から、中国のようなやり方が今後も続いていくのか疑問視する声もあります。

国際の関連記事

「フランス語は戦利品」という植民地だったアルジェリアの柔軟さ

2021.8.18

「フランス語は戦利品」という植民地だったアルジェリアの柔軟さ

  • 明治大学 国際日本学部 准教授
  • 鵜戸 聡
日本の「多文化共生」という概念を見直す時が来ている

2021.7.21

日本の「多文化共生」という概念を見直す時が来ている

  • 明治大学 文学部 専任講師
  • 昔農 英明
K-POP世代が日韓相互理解の架け橋になる

2021.7.7

K-POP世代が日韓相互理解の架け橋になる

  • 明治大学 商学部 教授
  • 李 英美
ヨーロッパに学ぶ日本の「移民問題」

2021.6.30

ヨーロッパに学ぶ日本の「移民問題」

  • 明治大学 文学部 教授
  • 荒又 美陽
アメリカに、キノコ雲をマスコットにする高校があるのはなぜか?

2021.4.28

アメリカに、キノコ雲をマスコットにする高校があるのはなぜか?

  • 明治大学 政治経済学部 教授
  • 石山 徳子

新着記事

2021.09.22

考古学の新たなロマンを生み出す数理科学

2021.09.16

挑戦することで自らも社会も“進化”させよう

2021.09.15

プロ野球の熱狂は人になにをもたらすのか

2021.09.09

人生を通して、夢中になるものを見つけよう

2021.09.08

音楽が魅力的で面白いのは、音楽は複数形だから

人気記事ランキング

1

2020.04.01

歴史を紐解くと見えてくる、台湾の親日の複雑な思い

2

2021.09.22

考古学の新たなロマンを生み出す数理科学

3

2019.10.23

渋沢栄一に学ぶ、多様な立場、多様な経験を活かす生き方

4

2018.01.26

#3 日本国憲法は「押しつけられた憲法」か?

5

2019.07.31

万葉集に由来する「令和」に込められた、時代にふさわしい願い

リレーコラム