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暴走するのは核を保有した北朝鮮か? トランプか?

蟹瀬 誠一 蟹瀬 誠一 明治大学 名誉教授(元国際日本学部教授)

アメリカにトランプ政権が誕生し、アメリカファーストを前面に掲げたことで、冷戦後20年間をかけて世界の主要国が創り上げてきた「新世界秩序」(New World Order)が崩壊してきたといわれます。世界は「新社会無秩序」のアナーキーな状況に陥っていくのか。私たちはそれをしっかり見極める必要があります。

トランプ政権の発足によって崩壊しはじめた新世界秩序

蟹瀬 誠一 第2次世界大戦後の1945年から始まった世界の冷戦の構造は、ソ連とアメリカが東西に分れ、共産主義、社会主義と、自由主義、民主主義という二分化された非常にわかりやすい世界でした。ところが、1989年に冷戦の終結宣言がなされ、1991年にはソ連が消滅し、その構造が崩壊します。そこで、有力な国々が集まり、世界に新たに秩序をもたらすために、この20年以上積み重ねてきたのが、国際協調です。その基盤には、自由主義的で、より開かれた社会、Open Societyを創ろうという発想がありました。ところが、この国際協調主義の中心にあったアメリカに、2017年に誕生したトランプ政権は国際協調ではなく、アメリカファーストを掲げました。アメリカの利益に直接関係のないことは、もう知らない、と宣言したわけです。象徴的なのが、パリ協定からの脱退です。パリ協定は地球温暖化問題に対する取組みですが、これには世界の200ヵ国近くが調印しています。それだけの国々がひとつの条約の下にまとまったのは、おそらく人類史上初めての出来事ではないかと思います。ところが、その中心的存在であったアメリカが、自国の利益にならないことを理由に、その条約から抜けてしまったのです。冷戦後、積み上げられてきた世界の秩序が崩壊した瞬間と言えるでしょう。

 世界を見渡すと、中国とロシアは露骨に勢力圏の拡大に出ています。ロシアはヨーロッパでの勢力を伸ばし、EU分断、NATO弱体化を図り、中国は南シナ海をはじめ海洋進出を強め、さらに、一帯一路政策まで打ち出しています。これは、各国の経済連携を高めるとは真逆の話で、ユーラシア大陸をすべて中国の影響下に置こうという戦略であり、世界制覇のような構想です。一方、ヨーロッパはイギリスのEU離脱や、難民問題、経済の格差問題を抱え、EUは崩壊寸前です。ユーロによる統一通貨体制の持続も難しいのではないか、と私は見ています。さらに、世界の火薬庫といわれている中東は、いままで地域の調停役だったサウジアラビアが、アメリカが頼りにならなくなってきたことで積極的に戦略的な動きをとるようになっています。その結果、イランやイラクもまた不安定になっています。中東はちょっとしたバランスが崩れると、何が起こるのかわからない状況になっているのです。

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