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2015.03.01

外部英語検定試験・導入の意味 ―世界で勝負できる人材を育成するために―

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入試・測定の基準が誕生する

 ――日本も国際的な共通の基準になるということですね。

その通りです。ヨーロッパはCEFRと呼ぶヨーロッパの共通参照枠があります。CEFRの理念は二つあって、一つは自律した学習者をつくること。もう一つは、互いの立場を尊重し合って他の人と建設的な関係を結ぼうとする精神を育てようというものです。自律しつつ、複言語・複文化の人々がお互いの違いを尊重し、お互いを理解し合おうという精神を大切にしているわけです。
いま、文科省では、日本の英検などの検定試験のレベルや、TOEFL iBT、TOEICなどもすべてCEFRに基づいてレベルを比較しています。そして、これから4技能を取り入れよういう入試も、その殻となりそうなのがCEFRです。

グループワークで表現力を磨く

尾関直子教授 ――世界で通用する表現力、言語力を身につけるため、具体的に、明治大学の国際日本学部や先生のゼミでは、どのように進めておられますか?

専門的なことは省きますが、私の専門は応用言語学であり、その理論に基づいて実践しています。学部の新入生はTOIECの平均は、半年で715点になります。言語習得には「読む・聴く」というインプットだけでなく、アウトプット、「書く・話す」が大事です。それと「インタラクション」です。お互いに話し合う、助け合うことにより、どんどん英語が上達していきます。日頃学習の機会が少ないスピーキングの時間は、グループワークのインタラクションによって飛躍的に増えます。
また、学部では「オフィスアワー」というのを実施していて、学生が都合のいい時にネイティブスピーカーの先生たちとテーマを持って会話することができる仕組みもあります。さらにライティングにも力を入れています。書かないと上手くなりません。これについては、「プロセスアプローチ」を導入しています。例えば、最近の社会問題についてエッセイを書く場合、まず、グループでディスカッションし、その後、個人でエッセイを書きます。次に、学生同士でエッセイを交換し、それに関してコメントを書きます。学生はそのコメントに基づいて、エッセイを書き直します。今度は、先生が読み、コメントを書き、そのコメントに基づいて学生がまた書き直します。このように何回も何回も書き直すのです。学生がそのエッセイを書き直したかったら、学期末まで書き直すことができます。ファーストドラフトからファイナルドラフトまで、すべて原稿はポトフォリオにいれ保管します。教師は学期末にポトフォリオを集め、学生のライティングがどのくらい成長したかも考慮して成績を付けます。一発勝負ではありません。
言語習得は何といっても、努力です。たゆまない努力とインタラクション。それと、メタ認知ですね。それを持った自律した学習者になることが大切なのです。

 ――日本の英語教育が大きく変わることがよくわかりました。本日はありがとうございました。

※掲載内容は2015年3月時点の情報です。
>>英語版はこちら(English)

※記事の内容は、執筆者個人の考え、意見に基づくものであり、明治大学の公式見解を示すものではありません。

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