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目的を見失わないことがビジネスコミュニケーション能力を高める

金子 敦子 金子 敦子 明治大学 経営学部 准教授

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最近、コミュニケーション能力への関心が高まっています。特に、ビジネスの現場などでは重要視され、コミュニケーションが上手くないという人は悩むこともあると言います。では、コミュニケーションとはそもそもどういうことなのか。それが把握できれば、悩みも和らぐかもしれません。

ビジネスコミュニケーションには2つの側面がある

金子 敦子 コミュニケーションとはなにか、意外と一言で答えにくい問いです。コミュニケーションはあまりにも身近で、人や場面によってさまざまな意味で使われています。コミュニケーションは「言語などによって意思などを伝達・交換すること」と定義されたりしますが、私たちの日々の問題を考えるには、少し広めにとらえておくとよいかもしれません。

 例えば、経営学者ドラッカーは、コミュニケーションは「人格と人格の関わり」という言い方をしています。コミュニケーションは、言葉は交わさなくても、隣に誰かがいること、一緒にいることで成り立つ、という捉え方もできます。誰かと一緒にいることで気持ちが通じ合う、影響を与え合う、それもコミュニケーションといってもいいでしょう。

 コミュニケーションは人間関係構築の鍵です。家族や友人、親しい人との関わりはもちろん、職場で人間関係を築く上でもよいコミュニケーションは欠かせません。

 私の研究分野であるマネジメント・コミュニケーションは、「人とともに仕事を成し遂げる」ためのコミュニケーションを研究する分野です。そこでは、コミュニケーションによる人間関係の構築とともに、課題の遂行に注目します。

 同じ職場や企業で働く人たちには、そこに一緒にいる目的があります。

 会社の業績を上げるというような大きな目的から、部署の売り上げを伸ばすこと、お客様に喜んでもらうこと、良い商品を作ることなど、部署や個人で様々なタスクがあり、それを達成することを目的として、多くの人が集まって仕事をしているわけです。

 そこでは、一緒にいることがうれしいというような、家族や友人の間にあるようなコミュニケーションと同じ面もありながら、それとは異なる面もあります。

 職場でコミュニケーションに求められることは、人間関係をどう回していくかということと、課題をどのように遂行するか、という2つの側面に要約できます。

 このことをしっかり把握しておかないと、職場でのコミュニケーションとのギャップに戸惑うことになります。

 企業の採用担当者が学生に求める能力として、16年連続トップになっているのがコミュニケーション能力です。

 実はこのコミュニケーション能力の捉え方は担当者や企業によって様々ではあるのですが、研究を見ると、おおむね、言葉などを上手に使いながら、人間関係を築き、仕事をまわしていく力だとみてよさそうです。

 言葉を上手に使う、と聞くと、難しそうな長い文章を巧みに操るイメージを持つ方もいるようなのですが、企業では、長い話よりも、要点を簡潔に伝えることが評価されるでしょう。

 また、重要なコミュニケーション能力と見なされるプレゼン能力も、発信力、説明力に注意が向けられがちですが、企業は、発信力だけではなく、プレゼン後のミーティングで必要な情報を引き出し、成約や問題解決に向けて物事を詰めていく力も含めて評価するでしょう。

 「人とともに仕事を成し遂げる」ためには、一方通行のコミュニケーションではあまりうまくいきません。相手が理解できないような難しい文章や、聞き手の行動につながらないような話は、一見よさそうでも、仕事のコミュニケーションでは評価につながりません。

 実は、こうしたビジネスコミュニケーションのギャップにぶつかるのは、新入社員だけではありません。年配の管理職や、現場を任されているような中堅社員も戸惑ったり、悩むことが多々あります。

 それは、多くの場合、ビジネスコミュニケーションの2つの側面を見失うことによって起こるのだと思います。

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