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目的を見失わないことがビジネスコミュニケーション能力を高める

金子 敦子 金子 敦子 明治大学 経営学部 准教授

異文化を意識してコミュニケーション能力を鍛える

金子 敦子 職場で人間関係をどう回していくのかということも、ビジネスコミュニケーションの重要な側面です。離職の大きな要因は職場の人間関係だといわれています。

 職場にも安心できる雰囲気は必要ですし、よい人間関係を保つための礼儀正しさも必要でしょう。だからといって、何もかも分かり合ったり、通じ合うようなコミュニケーションを求めるのは、やりすぎかもしれません。

 もし、部下とコミュニケーションがとれないと悩んでいるならば、もしかすると、部下とのコミュニケーションに過大な期待をもっているからかもしれません。

 緊急事態ではない日々の業務において、まずマネージャーに求められるのは、人間関係に大きな揉めごとをおこさず、課題を達成することです。

 一方、若手社員も、上司に対して、なんでもわかっていることを期待するのは現実的ではありません。

 上司は経験や情報も多く、よい解決案を持っていることもあるかもしれません。でも、上司は担当者の具体的な行動を全て見通しているわけではありませんし、常に正解を知っているスーパーマンでもありません。

 組織の文化や課題の内容によりますが、担当する課題については、担当者が自分で考えることが重要で、上司には、そのためのヒントを期待するくらいのバランス感覚で良いのではないでしょうか。

 現実離れした期待を持たないこと、組織の目的を見失わないことが、職場の人間関係をこじらせないことにもつながるかと思います。

 目的を意識しながら、誰に、なにを伝えるのか、なにを聞くのか、を適切に選択する、それができる人が、コミュニケーション能力の高い人と言えるのではないかと思います。

 そのような人は、周りの人を必要以上に責めたり、必要以上に期待することもなく、周りの人たちの多様性を前提に情報を交換し、ともに課題を遂行していけるのではないでしょうか。

 コミュニケーションのテクニックやスキルだけに目を向けるのではなく、コミュニケーションの相手と、成し遂げたい目的に意識を向けてみる。そうした関わりから自分の考え方や無意識の前提に気づき、ビジネスコミュニケーション能力も鍛えられる面があると思います。

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※記事の内容は、執筆者個人の考え、意見に基づくものであり、明治大学の公式見解を示すものではありません。

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